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2018年12月7日
【セ・リーグ回顧】広島が球団史上初のリーグ3連覇、昨季最下位のヤクルトは2位に躍進

 2016、17年と連覇し、その自信を持って臨んだ広島は今季も強さを発揮した。4月24日に首位に立つと、以降はその座を譲ることなく独走。球団史上初のリーグ3連覇を達成した。1試合平均5点以上をたたき出す強力打線が、防御率4.12と、やや不安定だった投手陣を支えた。シーズン前半には、鈴木誠也や丸佳浩を故障で欠く時期もあったが、野間峻祥やバティスタらが出てきて乗り切り、後半には鈴木、丸が中心となって引っ張った。投手陣は大瀬良大地が最多勝利と勝率第一位の2冠を獲得する活躍で支えた。打率.306、39本塁打、出塁率.468の丸が2年連続MVP。シーズン終了後、その丸がFAでの巨人移籍を表明。来季、4連覇へのチームづくりはどうなるか。
 2位は昨季、球団ワースト96敗を喫して最下位のヤクルトだった。2度目の監督就任となった小川淳司監督の下、山田哲人、バレンティンがそろって好調で、切れ目のない強力打線が完成した。山田哲は7月にサイクル安打、そして前人未到となる3度目のトリプルスリーを達成。バレンティンは自己最多タイの131打点をたたき出し、打点王に輝いた。そして何より大きかったのが青木宣親の古巣復帰だ。チームトップの打率.327をマークし、プレーと言葉でナインをけん引。投手陣では近藤一樹が74試合登板、石山泰稚が71試合登板と救援陣が踏ん張り、シーズン2位を勝ち取った。来季は優勝争いに加わること、CS突破が新たなテーマとなる。
 3位は巨人だったがレギュラーシーズン最終戦、10月9日の阪神戦(甲子園)に勝利して2年ぶりのAクラス復帰。勝率は5割を下回り、ファーストステージを突破するのがやっとだった。シーズン通して目立ったのはごく一部の選手だけ。例えばエース・菅野智之は投手主要三冠を獲得したばかりか、沢村賞の基準となる7項目をすべてクリアしての連続受賞と奮投。打っては4年目の岡本和真が史上最年少で「3割、30本塁打、100打点」を達成。6月からは四番に座り、打線の軸となった。このほか投手では7月27日の中日戦(東京ドーム)でノーヒットノーランを達成した山口俊。打線では打率.345の坂本勇人、84打点のマギーが中心も、最後まで投打が噛み合わなかった。3年目の高橋由伸監督は退任。原辰徳監督を3たび迎え、オフは大補強を敢行中。チームは転換期を迎えている。
 DeNAは開幕前の予想に反して苦しいシーズンを強いられた。前年そろって2ケタ勝利の今永昇太、濱口遥大、ウィーランドが故障により開幕に間に合わず、復帰後も期待されたパフォーマンスからはほど遠かった。開幕投手の石田健大と合わせて開幕ローテの軸となるはずだった投手で貯金をつくれなかったのが痛かった。それでも最後までCS争いに踏みとどまったのは、新人ながら11勝の東克樹の頑張りが大きかった。攻撃面では「スモールベースボール」を掲げるも、結局は筒香嘉智、ソトらの長打力頼みに落ち着いてしまった。本塁打はリーグ最多ながら、得点はリーグワーストの数字が今季の打線を象徴する。4位に終わった今季の戦い方をもう一度、分析したうえで、チームを立て直す必要があるだろう。
 5位の中日は首位打者、最多安打の2冠を獲得したビシエドを始め、平田良介、アルモンテのクリーンアップが打線をけん引した。しかし、その前を打つ京田陽太と大島洋平が役割を果たせず、効率的に得点できなかったことが痛恨。さらに、貴重な得点を中継ぎ陣が吐き出したことで38度の逆転負けを喫し、球団ワーストの6年連続Bクラスという不名誉な記録でシーズンを終えた。ルーキーの鈴木博志や43歳の岩瀬仁紀がフル回転するのは異常事態。これでは長いシーズンを戦い続けるのは難しい。先発陣では大野雄大が未勝利など苦しかったが、新外国人のガルシアが13勝と働き、松坂大輔の復活、笠原?太郎ら若手の台頭でなんとか補ったのだが……。黄金時代の象徴的存在だった岩瀬、荒木雅博、浅尾拓也が現役を引退し、森繁和監督も退任した。チームは大きな変革期を迎えている。
 最下位の阪神は自慢の投手陣がまさかの壊滅。先発陣はエースのメッセンジャーが4つの貯金を作ったが後半はまったく勝てなかった。期待の秋山拓巳、藤浪晋太郎も低迷。昨季60試合以上登板した“カルテットリリーバー"たちも軒並み成績を落とした。打撃陣に目を向けると、開幕直後から新助っ人のロサリオが四番に座るも大不振。期待された2年目の大山悠輔も不振で打線につながりができず。終盤戦になるとそれが顕著となり、連敗が続いて17年ぶりの最下位に終わった。一方で、才木浩人、望月惇志といった20代前半の若い投手陣が育ち始めている。野手では2年目の糸原健斗が全試合に出場という明るい材料もあった。

【文責:週刊ベースボール】


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