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【コラム】無欲のバッティングでチームを率いる西武・浅村栄斗

 自らの判断で犠打を決めた。5月21日のソフトバンク戦(メットライフ)。初回、無死一、二塁のチャンスに打席の浅村栄斗はピッチャー前へセーフティ気味に打球を転がした。自らはアウトになったが、一死二、三塁とチャンスは拡大。続く中村剛也の遊ゴロの間に三走・秋山翔吾がホームに生還してチームは先制した。昨年4月23日楽天戦以来、約1年ぶりの犠打だったが、「自分どうこうより、まずは先制点という意識だった」と浅村。新しく背番号3を背負い、新主将に就任した今年、欲を捨て、グラウンドに立っている。

 何よりも今年はチーム打撃を心掛けている。つなぐ意識。後ろには中村剛也が控えている。いい形で主砲に回すことが最大の使命だ。苦い記憶もある。昨年も最終的には打率.309をマークしたが開幕直後にどん底に陥った。4月5日、日本ハム戦(西武プリンス)で左翼席へ豪快な満塁弾を叩き込んだ。同試合終了後、.353と高打率を残していたが、“快感”が忘れられなかったのか、その後は強引な打撃に終始。打率.175にまで落ち込む大不振に陥ってしまった。

 今年は昨年のような失敗は繰り返さない。犠打を決めた前日のソフトバンク戦(同)の2回裏、二死一、三塁では中田賢一の141キロストレートをフルスイング。打球は左翼席上段へと消えていった。4号3ランは節目の100号本塁打。「100号はうれしいですが、もっと上を目指せるように頑張っていきます」と控えめに喜びを表した浅村だったが、ここからスイングが大きくなって打撃を崩すことはなかった。それどころか翌日、「自分が決める」と過剰に意気込むことなく、勝利のためにしっかりとランナーを送ったのだった。

 欲のない打撃が奏功しているのか、今年は5月22日現在、得点圏打率は.396を数え、リーグトップを走る41打点をマーク。同2位の36打点を稼いでいる中村とともに、リーグ随一の打線をけん引。好調な打線に引っ張られるかのように、チームは先週、5勝1敗と大きく勝ち越し、2位・ソフトバンクに2ゲーム差、1位・楽天には5ゲーム差の3位につけている。「今年は優勝したい」と強く誓う浅村が献身的な働きを見せ続ければ、所沢の地に2008年以来の歓喜の瞬間が訪れるかもしれない。

【文責:週刊ベースボール】