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【コラム】こだわり減でも成し遂げた6試合連続2ケタ奪三振

 ラストチャンスだった。5月25日のオリックス戦(ほっと神戸)。7回まで7三振を奪っていた則本昂大(楽天)は107球を費やしていたこともあり、8回限りでマウンドを降りるつもりだった。この試合で2ケタ三振を奪えば、1991年に近鉄の野茂英雄が記録した6試合連続2ケタ奪三振のプロ野球記録に並ぶ。そのためには8回にすべてのアウトを三振で奪う必要があった。

 8回、先頭の駿太に粘られながら最後はスライダーで空振り三振に仕留めると、続く西野真弘も150キロ直球で空振り三振。あと一人。球場のボルテージも上がっていった。打席には3打席連続三振に打ち取っていた中島宏之。1ボール2ストライクからの4球目、134キロのスプリットでバットに空を切らせた。3者連続奪三振で偉業達成。則本はグラブをポンポンポンとたたいて、右こぶしを握りしめながらベンチへと戻った。

 「7回に三振が取れず、正直〝無理やなあ〟と思ったんですけど、8回は頑張って取りにいこうと考えた結果、記録を伸ばすことができたので良かったです。ただ、勝利記録や無失点記録と違って、その記録が達成できなくてもチームが勝つことはあるので、そこまで気負うことはないです。できなかったら〝もう1回挑戦すればいい〟と思っています」

 3年連続奪三振王にも輝いている本格派右腕だが、三振を奪うために最も必要なのはコントロールだという。見逃し三振はストライクゾーンに決まってこそ、そしてストライクゾーンで勝負できるからこそ、打者もバットを振ってくれる。ただ、今年は昨年までと比較して三振へのこだわりは少なくなった。

 「早いカウントで勝負して守備の時間を短くすることを考えています」

 テンポ良く投球を終え、リズムを生んで攻撃につなげる。投手としてのエゴを捨て、とにかくチームの勝利を最優先に――それがかえって奪三振記録につながるのだから面白い。ちなみに6戦で野茂は2勝4敗だったが、則本は5勝0敗としっかり勝利に結びつけている。

 「次の試合で2ケタ三振を奪えば日本記録ですよね。意識しないわけではないですけど、そこを狙いにいくわけではないので。いつもどおりに頑張ります」

 無欲でマウンドに上がるが、必ずや記録更新と白星をファンに届けてくれるだろう。

【文責:週刊ベースボール】