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【コラム】執着心で積み上げた2000本の安打

 大記録を達成した一打は実に“らしい”当たりとなった。6月3日、ナゴヤドーム。0対1の4回一死で打席に立った中日・荒木雅博は楽天・美馬学が投じた真ん中近辺のスライダーにタイミングがずれたが、巧みなバットコントロールで右前にはじき返した。

 「バットを止めましたけどね。タイミングが早いなと思ってやめようと思ったら、いいところに飛んでくれました」

 史上48人目の2000安打。一流打者の仲間入りを果たしたが、同日時点で通算33本塁打と記録達成者の中では宮本慎也(元ヤクルト)の59本塁打を下回る最少記録だ。打者の勲章である打率3割をマークしたのも2006年の一度きり。22年間のキャリアの中でクリーンアップに座ったこともない。二塁手としてゴールデン・グラブを6年連続受賞し、07年には盗塁王に輝くなど守備、走塁に定評はあるが打撃に関して決して突き抜けたものはなかった。

 元チームメートで、自身も2000安打をマークした和田一浩氏は荒木の打撃に関して次のように言う。

 「こんな言い方は失礼ですけど、バッティングに関して50くらいの能力で100のことをやっている選手。ただ、100近くの能力があっても、50くらいしか出せない選手もいる。それは執着心を持ってやってきた結果。本当に、努力型の選手でしょう」

 技術はないけど、ノビシロはあると思っている――とは打撃に関して荒木の基盤になっている考えだ。まさに、常に上を目指して、コツコツと努力してきた結果、球史に名を刻む打者となった。

 熊本工高出身者としては川上哲治(元巨人)、前田智徳(元広島)に続く3人目の2000安打到達者だ。

 「プロ野球選手になって最も感動したことがあるんですよ。プロに入り、レギュラーを取ったくらいのときに、川上さんから『よくなったな、お前』と声をかけていただいたんです。あれはうれしかった。前田さんは自分というものをしっかり持っている方で、外から見ているだけでもすごく勉強させてもらいました。僕にとっての前田さんは“武士”というイメージ。あの人のようになりたいと思っているんです」

 今後の目標はチームが心の底から強くなっていくことだという。常勝ドラゴンズ復活へ――。そのために、荒木の存在は欠かせない。

 【文責:週刊ベースボール】