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【コラム】最後に見せた理想のバッティング

 これが今季限りでユニフォームを脱ぐ男の打球なのか――。

 9月24日の日本ハム戦(ZOZOマリン)。引退試合に臨んだロッテの井口資仁が2点ビハインドの9回裏、無死一塁で打席に立った。マウンドには日本ハムの守護神、増井浩俊。ロッテと日本ハムは最下位争いを繰り広げており当然、増井も手加減はしない。150キロに迫るストレートでグイグイ押していく。そして、2ボール1ストライクからの4球目、149キロの真ん中ストレートだった。井口が力強く振り抜いた一撃はセンターへ。打球は失速することなく、バックスクリーン右横へ飛び込んだ。

 「役者が違う」と伊東勤監督も感嘆した劇的な同点弾はまた、井口が追い求めてきた打球だった。6月20日、突然の引退表明会見の場では「(残りのシーズンで)これまでのすべてを出し切りたい。今まで追い続けていた右方向の打球。もう1度、右方向へ強い打球を打つことを目指してやっている」と語っていた。ともに東都大学リーグでプレーし、同級生である阪神の今岡真訪二軍打撃兼野手総合コーチも以前、井口の打撃に関して「当時から右中間への打球の飛距離がハンパじゃない。僕もたまに本塁打を放つことはあったけど、右には飛ばないから」と語っていたが、自らの理想のバッティングを最後に見せるのだから、まさに千両役者だ。試合は延長12回裏、鈴木大地のサヨナラ安打でロッテが4対3で勝利。井口の有終の美を飾った。

 国学院久我山高から青学大を経て、1997年、逆指名のドラフト1位でダイエーに入団。三拍子そろった内野手として、ダイエー黄金期の中心選手として活躍。2005年、メジャー・リーグのホワイトソックスへ移籍し、日本人野手としては初の世界一に輝いた。フィリーズ、パドレスを経て08年、復帰したフィリーズで2度目の世界一。翌09年、ロッテへ。10年に“下克上”日本一の立役者となり、13年には日米通算2000安打を達成した。

 まさに栄光に彩られた21年の現役生活。常に第一線で力を発揮し続けられたのは「目標設定を明確にしてきたから」だ。自らを客観視し、足りないものを把握して、その課題をクリアしていく。一つひとつの細かい作業の積み重ねが、偉大な選手を作り上げた。

 「本当に最高の野球人生だった」と21年を振り返った井口。「明日から次の夢、目標に向かって精いっぱい頑張ります」と続けたが、井口の次なるステージは果たして――。ただ、どのような世界に飛び込んだとしても、自らのスタイルを貫いて、大きな花を咲かせるはずだ。

【文責:週刊ベースボール】