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【コラム】広島が3連覇へ視界良好!追い上げへ他球団の意地に期待

 三番打者の丸佳浩、四番打者の鈴木誠也、エースの野村祐輔を欠く期間が、それぞれしばらくありながらも、ほかの選手がうまくそれをカバーし、2位・巨人に6ゲーム差をつけてペナントレースを折り返した広島。その原動力となったのは打線だ。田中広輔、菊池涼介、丸、鈴木の、おなじみの一番から四番に加え、松山竜平、野間峻祥またはバティスタ、西川龍馬、會澤翼と続く打線は切れ目がなく、つながれば一気にビッグイニングが生まれる。投手陣は、安定感を欠く時期もあったが、大瀬良大地がハーラーダービーのトップを走るエースの働きで支えた。過去2年、連覇している自信も大きく、リードされてもあきらめない強さもある。2位とのゲーム差を生かして、故障者を出さない余裕を持った戦いができれば、3連覇へも視界良好だ。

 2位の巨人はチーム再建に若返りの必要性が叫ばれる中で、開幕から高卒4年目の岡本和真と大卒2年目の吉川尚輝が先発に起用され注目が集まっていた。結果的にこれがヒット。打撃好調の岡本は交流戦期間中に第89代四番打者にも抜擢され、チーム最多の16本塁打、2位の50打点と堂々とした成績を残し、吉川尚は再三の好守で投手を救った。岡本を軸に据えた打線は坂本勇人、亀井善行、C.マギーの好調もあり、近年の低迷がウソのように安打を重ね、チーム打率は首位・広島に1厘差の2位だ。一方で昨季は防御率が12球団No.1だった先発陣が足を引っ張った。開幕直後のローテーションは6月には完全に解体され、後半戦はエースで前半戦9勝の菅野智之、タフに7勝を挙げた山口俊を軸に、新外国人のT.ヤングマン、育成から昇格したばかりのC.C.メルセデスがローテ入りし、まず彼らがゲームを作ることが広島を追い上げるカギとなる。

 新四番がしっかりと仕事をして、復調した藤浪晋太郎が先発の軸の一人としてローテを守る――という理想的な展開を思い描き、王者・広島の牙城を崩すつもりだった阪神。だが、どちらも思惑どおりにはいかなかった。特に新外国人で四番に入ったロサリオが徹底的にマークされ、打線がつながらない。また、ベテランの鳥谷敬もコンバートの影響からか、不振。期待された2年目の大山悠輔も力を発揮できず打線が機能せず。それでも首位・広島と7ゲーム差の3位に留まったのは、投手陣の頑張りがあったからだ。「4、5月に先発陣が頑張って長いイニングを投げてくれた」と金本知憲監督。さらに、後半戦に向け「まだ十分に巻き返せる」と指揮官は自信をのぞかせる。キーマンに復調気味の藤浪の名前を挙げ、「中5日くらいでバンバン行ってくれたら、やっぱり大きい」と期待する。あとは二軍で調整を続けるロサリオ。日本の野球に慣れ、四番に復帰できれば反攻も可能なはずだ。

 「借金4」。2年ぶりに借金を抱えて前半戦をターンする現状をどうとらえるか。4位のDeNA。投打にケガ人が続出した状況を考慮すれば「何とか踏みとどまった」と表現できるかもしれないが、優勝を目指すチームとしては物足りなさを感じてしまう。後半戦にはケガのロペスが再合流、精彩を欠いていたエース・今永昇太もようやく本来のパフォーマンスを取り戻し反攻への態勢は整いつつある。さらに、前半戦の最後にはオリックスとのトレードで伊藤光捕手、赤間謙投手を獲得するなど打てる手はすべて打った。首位・広島とのゲーム差は7.5と開くが、決してひっくり返せないゲーム差ではない(昨年は前半戦終了時、首位・広島とのゲーム差は10.5)。そのためにも早めに借金返済を目指していきたい。

 5位・中日の前半戦をひと言で表すなら「予想外」に尽きる。先発ローテは小笠原慎之介、鈴木翔太、柳裕也など、若手を中心に回していく予定だった。だが、小笠原は球数が100球を超えると突如乱れ、柳はボールが高めに浮くクセを改善できない。鈴木翔に至ってはキャンプから不調で、ファーム成績すら心もとない。一方で、「話題性」ばかりが先行した松坂大輔が3勝を挙げ、その翌日はここまで全勝と、チームの雰囲気を押し上げるスター性を発揮した。それに刺激された吉見一起や山井大介の年長者組も試合を作り、当初の予定とは正反対にベテランが活躍。野手では昨季の新人王・京田陽太が不調に陥り、大島洋平が打率.250前後と、斬り込み役の2人が本来の力を発揮できていないことも計算外だ。クリーンアップは好調なだけに京田、大島の復調は得点増のカギを握ると言えるだろう。

 交流戦勝率1位を決めてから、およそ1カ月。夢から覚めてしまったかのような苦境を迎えているのがヤクルトだ。前半戦は8連敗でフィニッシュ。一時は2位に躍進したが、7月に入って未勝利のまま。再び最下位に戻ってしまった。打線では二番に座り、交流戦で好調に転じた青木宣親が6月の月間MVPに選出されるほどの活躍を見せたが、6月30日の阪神戦(神宮)で頭部死球を受けて一時離脱。打線のキーマンの不在が響いた。それでも青木は7月11日の巨人戦(神宮)で先発復帰するとさっそくマルチ安打をマーク。投手陣が苦しいだけに、後半戦で巻き返すためには、青木を中心とした強力打線のバックアップが欠かせない。

【文責:週刊ベースボール】