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【コラム】NPB8年ぶりの1試合左右両打席本塁打を放った楽天の若きトップバッター・田中和基

 2010年の赤田将吾(オリックス)以来、8年ぶりの記録だった。8月1日のオリックス戦(京セラD大阪)、楽天の田中和基が左右両打席アーチを放ち、チームを勝利に導いた。右打席に入った3回、まずはアルバースからバックスクリーンへ10号ソロ本塁打。そして8回、今度は左打席に入ると、近藤大亮の145キロの直球を右翼席に運び、これが11号ソロとなった。

 左右両打席どころか、1試合2本塁打も自身初。「プロに入るときから、1回はしたいと思っていた」という田中。早くも1つ目の夢を実現させた。この日の2発で、チームの日本人選手では最速で2ケタに到達した。これで後半戦11勝2敗(8月1日現在)と絶好調の楽天。長打も打てる一番打者がその中心にいる。

 飛躍の2年目となった。昨年、ドラフト3位で入団した背番号25は今年、5月下旬にスタメンに定着すると一気にブレーク。3拍子そろった活躍で、「一番・中堅」の定位置を不動のものにした。8月5日現在で58試合に出場し打率.295、12本塁打、32打点、15盗塁。昨季の51試合、打率.111、1本塁打、2打点、7盗塁からすべての面で数字を伸ばした。

 開幕当時とは別人のような輝きだ。今年は初の開幕一軍を果たしたものの、4試合で4打数無安打、守備のミスもあり4月5日に二軍降格。そこで、思い切った打撃改造に取り組んだ。池山隆寛二軍監督から「大谷君(翔平、エンゼルス)はタイミングを取るためにノーステップで打っているぞ」という言葉がきっかけだった。

 「すり足にしたことで、タイミングが取りやすくなったと思います。ノーステップで最初から打てる体勢を作っておけば、あとはピッチャーが投げた球に対して振るだけなので、タイミングが取りやすくなりました」

 通常、ノーステップ打法にすると飛距離が落ちる危険性が伴う。だが、田中の場合、足を上げて打っていたときも力があまり入らない位置でボールをとらえていた。逆にノーステップでは最もスイングが鋭い個所でバットとボールがぶつかっているため、飛距離は変わらなかったという。

 長打力のあるスイッチヒッターとして頭角を現している田中。しかし「僕の武器は長打ではないですから。やっぱり足を生かさなければいけないので、まずは塁に出ること、ヒットを打つことだけを考えています」と自分を見失うことはない。

 「残り試合も慌てないことが大事になると思います。打席内でも打てないからといって慌てても仕方ないですし、走塁でも、守備でも、見ている人が安心するような余裕を持ったプレーをしたいなと思っています」

 周囲の予想を超えるスピードで、成長を続けていく田中。その将来が楽しみだ。

【文責:週刊ベースボール】