【コラム】清宮幸太郎がいよいよ本格覚醒へ 進化した打撃でチームの救世主となるか
「ようやく持っているもの(才能)が前に進み始めたね。だけど、まだまだこんなものじゃないとこっちは思っている」
日本ハムの栗山英樹監督がそう評価するのは、ゴールデンルーキーの清宮幸太郎だ。8月21日に今シーズン3度目の一軍昇格を果たすと、6試合で打率.455、3本塁打、8打点(27日現在)と若きスラッガーが抜群の存在感を発揮している。
中でも圧巻だったのは25日の楽天戦(札幌ドーム)。「六番・指名打者」でスタメン出場し、8回に宋家豪から本拠地初ホームランとなる第4号を右翼席にたたき込んだ。本塁打以外にも安打を重ね、5打数3安打の固め打ちで史上最年少でのサイクル安打達成こそならなかったが、高卒1年目での4本塁打は球団では大谷翔平(現エンゼルス)の3本を抜き、1959年の東映時代の張本勲(13本)以来59年ぶりのこととなった。
勢いは翌26日の同カードでも止まらず、4打数3安打で2試合連続の猛打賞。こちらも高卒ルーキーとしては1988年の立浪和義(中日)以来であり、あの清原和博(西武)、松井秀喜(巨人)すらも達成できなかった記録だ。
清宮の好調な打撃を支える要因の1つに「ミートポイントの安定」が挙げられる。以前は試合や打席によってバラつきがあったが、ファームでの懸命の振り込みの成果によって安定したミートポイントを習得。それによって本来のシャープで力強いスイングを可能にしている。さらに日本ハムの城石憲之打撃コーチが「ボールの見極めもそうですけど、変化球に対して一拍置いて打てている」と評価する課題だった変化球の対応力でも成長した姿を見せ、前半戦のように変化球で簡単に空振りをする場面も激減した。
「いまはしっかりと自分のタイミングでバットが振れていますし、これを継続していきたい。負けられない試合が続きますが、何とかチームの力になりたい」
たび重なるアクシデントを乗り越え、ひと回りもふた回りも成長した姿で一軍の舞台に舞い戻ってきた清宮。大混戦の様相を呈してきたパ・リーグの覇権争いにおいて、あふれる才能を開花し始めた19歳の原石が日本ハム逆転Vへのキーマンとなる。
【文責:週刊ベースボール】