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【コラム】巨人の未来を明るく照らす岡本和真が30号アーチ 「3割30本100打点」の史上最年少記録の更新なるか

 高橋由伸監督がその美しい放物線を見ながら「完璧でホームランバッターらしい1本だった」とベンチでうなった。9月8日の阪神戦(甲子園)の5回表二死二塁、打席には巨人の若き四番・岡本和真。小野泰己のやや外角高めに浮いた144キロの直球を振り抜くと、打球はバックスクリーン右に突き刺さり、今シーズンのホームラン数を30本に乗せた。球団では2013年の阿部慎之助以来となる大台到達だった。

 プロ入りから3年間で一軍では13安打、1本塁打(ルーキー年の1本のみ)、6打点だったが、4年目を迎えて才能が一気に開花。開幕前のオープン戦で打点王を獲得し、阿部から一塁のレギュラーを奪った。その勢いは開幕してからも止まることなく、6月2日のオリックス戦(京セラD大阪)からは「巨人軍第89代四番」に抜てきされた。6~7月には32打席連続無安打と一時的に苦しんだ時期もあったが、チームではただ1人開幕から全試合でスタメン出場を続けている。

 転機となったのは昨年オフの西武・中村剛也との自主トレ。そこで中村から言われた言葉が岡本の意識を変えた。

 「アウトになるならなるべくフライがいい。長距離を打てる人間はフライでアウトになることを恐れるな」

 そのひと言によって岡本の中に宿る長距離打者としての本能が呼び覚まされた。

 「3年間結果を出せずにいて、自分は中距離ヒッターなのかなと思うときもありました。そんな中、中村さんの言葉でやっぱりホームランを追い求めていくべきだと思ったんです。きっとそれを教えてくれるために言ってくれたのかなと」

 技術的にはバットをより立てた構えにすることで、ボールをとらえる範囲が広がって体勢を崩されてもヒットゾーンに飛ばせるようになった。ほかにも意識しているのは強いスイングでボールの下にバットを入れること。キャンプから徹底的に体に染みこませ、強烈なスピンをかけてスタンドに運ぶ技術を4年目にして習得した。またキャンプでは臨時コーチを務めた松井秀喜からマンツーマンで軸足と下半身の使い方のアドバイスを受け、多くの先輩たちからの金言を自分のものにして今日の結果につなげている。

 ホームランだけでなく、打率.316、打点も93をマーク(9月10日現在)。このペースでいけば残り17試合での100打点超えはほぼ間違いない。22歳シーズンでの「3割30本100打点」到達となれば23歳の王貞治、門田博光の最年少記録を塗り替える偉業。巨人の未来を明るく照らす若き四番が、そのバットで球史に名を刻む日はもうすぐそこまで近づいている。

【文責:週刊ベースボール】