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【コラム】10年ぶりの優勝を成し遂げた西武 強い絆で結ばれた2人のベテラン

 9月30日、優勝マジック1で迎えた札幌ドームでの日本ハム戦は1対4で負けたが、試合中に2位・ソフトバンクがロッテに敗れ、10年ぶりのリーグ優勝を成し遂げた西武。就任2年目にしてチームを頂点に導いた辻発彦監督が胴上げで8度、宙を舞い、選手たちの顔も自然とほころんでいく。右翼席の西武ファンに挨拶を済ませ、ベンチに引き揚げていくそのさなか、栗山巧と中村剛也がガッチリと握手を交わした。

 2001年秋のドラフトで、ともに西武から指名され同期入団となった2人。高卒新人として切磋琢磨してスターダムを駆け上がっていった。前回優勝の08年、伸び盛りの若手だった2人の能力が開花。中村は本塁打王、栗山は最多安打のタイトルを初めて獲得した。その後、チームの顔として重責を担っていったが、なかなか栄冠をつかむことができなかった。2014年から16年にかけて、屈辱の3年連続Bクラス。暗黒時代に入りかけたところから、見事に優勝を果たしたのだから、2人にとって喜びはひとしおだった。

 今季はプロ17年目、35歳を迎えるシーズン。ベテランとなった中村、栗山は順調に日々を過ごしたわけではなかった。中村は開幕から不調にあえぎ、4月21日のロッテ戦(メットライフ)で守備の際、左肩を強打して登録抹消。6月に戦列復帰したが、すぐに快音が戻ることはなかった。940グラムと球界でもかなり重いバットの使い手だったが、900グラムを切るまで軽くしてみた。もがきながら、復調のきっかけを探り、夏場についに復活。8月にはパ・リーグ記録に並ぶ6試合連続本塁打を記録し、自己最多を更新する月間12本塁打を記録した。9月のシーズン最終盤でも貴重な一撃を何度も放ち、チームを優勝へ加速させた。

 栗山もシーズン当初はグラウンドに立てない日々が続いた。3月30日、開幕の日本ハム戦(札幌ドーム)はベンチスタート。9回表、代打で二塁打を放つも、その後はなかなか出番が訪れない。今季2打席目は9日後、4月8日のオリックス戦(メットライフ)だった。7回、代打で犠飛を放ち、開幕8連勝に貢献したが、そのときのコメントがふるっていた。「栗山、生きています!」。自らの価値を、自らの手で証明すると、その後も勝負強い打撃で幾度もチームに勝利をもたらす。9月には主に五番で出場を続け、9月14日からの怒涛の12連勝にも大きく貢献した。優勝へ向け、この2人のベテランの存在は非常に大きかった。

 優勝会見で今季、最も印象に残っている試合を問われた栗山は9月17日のソフトバンク戦(メットライフ)を挙げた。この日、1回に栗山が満塁本塁打、7回に中村が3ランを放って勝利。優勝マジック11を点灯させたが、そろってお立ち台に上がっていた。「たまたま今、(中村が)隣に座っているので、そのことを言ったほうがいいのかな、と(笑)」。栗山は茶目っ気たっぷりに笑顔をはじけさせたが、2人の絆は強い。

 「僕たちは本当に一緒に歩んできた感じ。08年、同じようにレギュラーになって結果を出して、アカン年はだいたいどっちもアカン(笑)。運気が似ているのかもしれない」(栗山)

 巧打の栗山、長打の中村と打撃スタイルは異なるが、歩む道程は似ている2人。これからクライマックスシリーズ、日本シリーズと戦いはまだ続く。日本一へ向け、ベテランはチームにとって有形無形の力となる。

【文責:週刊ベースボール】