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【コラム】ピッチングを楽しみながらトラ党に喜びを届ける西勇輝

 喜びのあまり、味方ベンチに向かってガッツポーズが飛び出した。4月14日、阪神対中日戦(甲子園)。4回裏一死二、三塁で阪神投手の西勇輝が真ん中低め135キロ直球を叩いた打球は左翼線ではずむ2点適時打となった。この回、一挙5点を挙げて逆転しに成功した阪神。西は投げても8安打を浴びながら7回を2失点に抑え、チームに勝利を呼び込んだ。

 「先制点を取られましたけど、取り返してくれて追加点も入って、いいリズムでした。四球を出そうが、ヒットを打たれようが、僕は粘り強く投げていくだけです。みんなで勝つことができて良かったです」と西。チームの連敗も4で止めたが、矢野燿大監督も「投打で引っ張ってくれた西のおかげ」と称賛した。

 昨オフ、オリックスから阪神へFA移籍してタテジマのユニフォームにソデを通した西。「コントロールも球のキレも球種もけん制も、フィールディングもすべてにおいてレベルが高い。捕手も新しい発想や勉強があるかもしれない。受けていて楽しい投手」と捕手出身の矢野監督はそのピッチングを評価していたが、昨年まで通算74勝を挙げている西を支えているのは尽きぬ向上心だ。

 「自分のピッチングに納得できないことがめちゃくちゃ多いんです。今、いいボールを投げたのに、次に同じ球種を投げると、同じように投げられないことが多い。同じ投球フォームで、同じ握りで投げているのに、それが再現できない。100パーセントができないから、そこに近づいていきたいと思う。だからこそ野球は面白いんでしょう」

 さらに、「野球は数字が出るスポーツですが、そこを覆して、投球内容で自分の価値を証明したいという気持ちが強いんです」と言う。ただ単純にヒットを打たれた、凡退に打ち取ったという結果に注目していただけでは成長はない。いかに、自分が考えたとおりに打ち取っていくかということを重要視しているのだ。

 「相手に考えさせて凡打に打ち取れたら、次の打席も打者は打ち取られた打席について、いろいろと引きずると思うんですよ。だから、もしヒットを打たれたら、その前の打席での対戦で僕らの配球が悪かったんだ、と。つまり、前の打席で相手にいろいろと考えさせられなかったんだな、と反省します」

 配球は何百通り、何千通りとあるから面白い。今は野球の試合というより、投球を楽しむ自分がいるという。

 「打者との駆け引きも面白いし、審判とも駆け引きをしますよ。時にボール1個分、ストライクゾーンから外れていても、わざと首をかしげてみたり。この世界で生き残っていくためですからね。審判に手を上げてもらわないと仕事になりませんので。それも含めて、あらゆることが僕にとっては勝負です」

 4月15日現在、新天地で2勝1敗、防御率1.57と上々の滑り出しを切った西。頭を使ったピッチングを発揮して、さらに自分の価値を高めるピッチングを続け、トラ党に喜びを届けていく。

【文責:週刊ベースボール】