【コラム】日本人最速100号!無敵の四番を目指す山川穂高
フルスイングから放たれた打球は高々と舞い上がり、左翼席上段へ着弾した。5月12日の日本ハム戦(札幌ドーム)、西武が2点リードの3回一死二塁。打席に入った四番・山川穂高は1ストライクからの2球目、真ん中に入ってきた147キロのストレートを見逃さなかった。「手に感触が残らない感覚。理想の打ち方で完ぺきでした」と自画自賛した14号2ランはプロ野球史上291人目の通算100号本塁打。321試合目での到達は、球団OBの秋山幸二が1987年に記録した351試合を上回る日本人最速ペースだった。
「二軍生活が長かったので、最速はピンとこないところもあります。でも、うれしく思う」と山川。7回には公文克彦から通算101本目となる15号ソロを左翼席へ。本塁打王争いでもレアード(ロッテ)に2本差をつけ、再び単独トップに立った。
誰よりもホームランにこだわっている男だ。
「スタンドの歓声や空気、グラウンドを一周、一人で走っているときの気持ちは最高。それを誰よりも数多く味わいたいんです」
だからこそ、打席では全打席ホームランを狙う。
「一番いい結果を求めて打席に向かうわけであって、最初から三振してもいいやとか、フォアボールを狙いにいく打席はありません。結局、全打席ホームランを打ちにいくことからまずは始まります」
その際、意識している打球方向はバックスクリーンだという。
「打球はセンターが一番飛びます。感覚的なものですが、これは間違いありません。野球というのはそういうふうにできていると思っています。真っすぐに来たボールを真っすぐ当てたらセンターに飛ぶようになっている。だから、センターは(両翼より距離があって)120メートルくらいあると思うんですよ。僕がセンターに向かって打つのは、そういう理由からです」
昨年、開幕から四番に座り続け、打率.281、47本塁打、124打点をマーク。10年ぶりのリーグ優勝に貢献し、本塁打王、そしてMVPにも輝いた。しかし、理想像には程遠いという。目指しているのは究極の打者。もっと打率を上げ、もっとホームランをいい場面で打ち、もっと打点を稼ぐことを目指す。
「四番はすべての項目の数字が突出しているべき。さらに、つなぐこともでき、試合を決めることもできないといけません」
無敵の四番になるために、山川はフルスイングを続ける。
【文責:週刊ベースボール】