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【コラム】こだわりのストレートが威力を発揮!日本ハム・吉田輝星がプロ初登板初先発初勝利

 その投球の約80パーセントが直球だった。6月12日、広島戦(札幌ドーム)。昨夏の甲子園で金足農高を準優勝に導き、一躍ヒーローとなった日本ハムのドラフト1位右腕・吉田輝星がプロデビューを果たした。5回を4安打1失点の好投。1966年のドラフト制導入以降、史上19人目の高卒新人による初登板初勝利を達成した。球団では2010年の中村勝以来となる快挙だ。

 「率直にうれしいです。自分は緊張しないと思っていたんですが、いざ一軍のマウンドに上がってみると全然違うなと感じましたし、1、2回は特に難しかった。でも最少失点で終えられて楽しんで投げられました」

 初回、先頭打者の長野久義にいきなり右前打を浴びた。二番の菊池涼介には10球粘られて四球。四番の鈴木誠也にも直球で攻めたが四球を許すなど一死満塁のピンチを背負った。だが、五番・西川龍馬を3球三振に仕留めると、続く磯村嘉孝にはこの日最速の147キロをマークするなど追い込み、最後はカーブで三ゴロに打ち取った。1点を先制してもらった直後の2回には二死から田中広輔にカーブを右前に運ばれ、続く長野には同点の左中間適時二塁打を浴びるなど1、2回で53球を要した。

 立ち上がりは不安定だったが、3回以降は見事に修正。3、4、5回で許したランナーは4回の會澤翼に浴びた二塁打のみ。10、11、10球でまとめて5回を84球で投げ切ったが、そのうち67球が直球だった。ほぼストレートばかりの新人右腕に責任投球回数を投げ切らせた広島側からは直球への賛辞が並んだ。鈴木は「きれいに真っすぐ伸びてきたり、真ッスラ気味に変化したり……となかなかイメージを絞り切れなかった。指に掛かったときの真っすぐは見たことがないくらいの良いボールだった」と褒め称えた。

 スピンの利いた直球と、ほとんど球速が変わらないまま手元でわずかにスライドする直球。この2種類があったという。吉田輝自身は「130キロ台の直球は意図して投げていましたが、微妙にバランスが崩れたりしたときにカット気味に変化をすることがあります」と言ったが、本人の意図しないところでムービングボールの効果を発揮して広島打線を幻惑させた。

 もともと直球にはこだわりがある。入団直後のインタビューで「ここだけは誰にも負けたくないという自分の一番のストロングポイントはどこですか?」という問いに対して「ストレートです」と即答。さらに「ベース付近で浮き上がるイメージのボールが自分の一番の武器であり、特徴だと思っているので、プロの世界でも変わらずに追い求めていきたいです」と続けた。

 「先発としてみんなから信頼されるピッチャーになりたいという思いは常にあります。マウンドでの気持ちの強さというか、存在感のあるピッチャーになっていきたいです」とも口にしていた背番号18。“存在感”はプロ初マウンドでも存分に見せつけた。可能性を秘めた18歳の今後が楽しみだ。

 【文責:週刊ベースボール】