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【コラム】独走の巨人に対して意地の一発!リードでもチームの力になるDeNA・伊藤光

 独走の巨人に対して意地の一撃を放った。交流戦から5連勝と波に乗り、着々と首位固めを行っていた巨人と7月5日から東京ドームで激突した3位・DeNA。しかし、連敗を喫して、ゲーム差を8.5と広げられてしまう。7月7日の第3戦。これ以上、負けられない一戦で粘りを見せる。2対3と1点ビハインドで迎えた6回表。細川成也の左前適時打で同点に追い付くと、さらに二死一、二塁で打席には伊藤光。鍬原拓也が投じた初球だった。真ん中高め、147キロ直球をとらえた打球は高々と舞い上がり、左翼席へ着弾。今季8号は勝ち越し3ランとなり、巨人の連勝を7で止める一打となった。

 ただ、「僕はホームランを打つバッターではありません。後ろにつなぐ、出塁するという役割を忘れずやっていきたい」とヒーローは至って謙虚。それも縁の下の力持ちである捕手らしい。電撃トレードでDeNAの一員となってちょうど1年だ。オリックスでは三塁にも挑戦するなど出場機会を減らし、若手を重用するチーム方針にも苦しんできた。それだけに「ルーキーのような気持ちで一生懸命やりたい」と移籍当初に裸一貫の決意を見せたが、野球に対する不安はまったくなかったという。

 「投手自身がこうしたいというのがあれば、それを汲みながらリードしていくことを心がけています。先発はほとんど年下の投手が多い。余計に何とかしてあげよう、という気持ちは強いです。投手も最初は僕のことを分かっていないことがありました。そんなときは、とにかく話して理解するしかないです。あとは投球を受けたり、試合中のプレーで互いに理解できればと思っています。新しい気持ちでDeNAに来ましたが、そうした姿勢はオリックス時代から変えていません」

 今季も正捕手として若い投手陣の能力を引き出し、春先につまずいたチームをAクラスまで押し上げてきた。6月1日のヤクルト戦(横浜)では強打のヤクルト打線に的を絞らせず、ルーキーの上茶谷大河をプロ初完封に導いた。昨季チームで1試合のみだった完封は早くも4度目。そのすべてで伊藤光がマスクをかぶっている。

 「完封は良い結果だけれど、僕の中では9回で3失点というのを頭に置いています。もちろん投手の0にこだわる気持ちは大切にしたいですが、そればかりでは自分を苦しめてしまいます」

 結果に一喜一憂することはない。試合後はすぐに投球チャートを手元に試合の正面映像を第三者の視点から見直し、結果よりも配球のプロセスが適切だったかを吟味する。「完璧な勝ち方に見えても、実際に完璧な試合はない。反省して翌日に生かす。先発投手も変わるし、中継ぎなら同じ打者との対戦もありますから」。研究熱心な姿勢が投手の持ち味を生かすリードとして表れている。

 7月8日現在、巨人と8.5ゲーム差。だが、優勝の可能性がある限りあきらめることはない。悲願のVをチームにもたらすため、伊藤光はしっかりと投手をリードすることに心血を注ぐ。

【文責:週刊ベースボール】