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【コラム】劇弾で決めた史上20人目の400号本塁打 西武・中村剛也のホームラン論

 ド派手に、劇的に決めた。7月19日のオリックス戦(メットライフ)。1対4の劣勢に立っていた西武だが9回裏一死一、二塁から金子侑司の3ランで追いつき、延長に突入。迎えた11回裏、一死走者なしで打席に立ったのが“おかわり君”こと中村剛也だった。「はっきり言うと、何も考えていなかった」と試合後に明かした中村だが、「久しぶりに芯に当たりました。打った瞬間にいくかなと思いました」。増井浩俊が投じた高めのフォークを振り抜いた会心の一打がレフトスタンドに飛び込んだ。珍しく右手を突き上げて喜びを表現した中村に、西武ファンの大歓声が降り注いだ。

 劇的なサヨナラ弾はプロ野球史上20人目の400本塁打となった。ライオンズだけで400号は中村が初めてという快挙だ。お立ち台ではいつものように淡々と話した中村だが、最後に「まだまだ、もっとホールランを打てると思う」と宣言。この力強い言葉に再び西武ファンの大歓声が飛んだ。35歳のベテランの視線の先にはプロ野球史上8人しか到達していない500本塁打があるに違いない。

 昨年までのプロ17年間で6度の本塁打王に輝いている中村。まさに生粋のアーチストだが、ホームランを放つためには、まずタイミングが重要だと考えている。

 「もともと野球は投手主導なので、打者が立ち遅れてしまったら何もできません。だから、タイミングは本当に大事。なので、打撃練習でマシンを打つときやティーバッティングのときでも、とにかく常にしっかりタイミングを取ってスイング。素振りのときも投手をしっかりイメージしています」

 さらに心掛けているのは「力を抜くこと」だ。

 「バットはギュッとではなく、最小限の力で握って、最もストレスのかからないポイントで打つようにしています。スイングするときも、自分で力を加える意識はありません。というか、バットを振って打とうと思ったら、力は勝手に入りますから」

 ムダな力は極力排除。「抜く」バッティングができれば、バランスも崩れにくくなる。それがボールを迎えにいかなかったり、インパクトのときのズレが少なくなったり、バットのヘッドが使いやすくなるなど多くの利点につながるという。

 地面に着いたつま先から下半身、上半身、腕に力を伝え、バットの芯に最大限の力を集める。どのようなスイングをすれば一番ボールに力を与えられるかということも重要視しているが、それを可能にするのも「上体の力を抜く」ことだという。

 「結局、上体の力は下半身の力には勝てません。だから、僕は打席で構えているときは本当にフニャフニャな感じ。下半身に力をためて、それをどんどん上げていって、バットに伝えていく。そうすれば自然と下半身主導で、力が下から上につながると思います」

 パワーだけでなく、考え抜かれた技術でホームランを打ち続けてきた背番号60。これからも、技を磨いてファンを喜ばせる弾道を描いていく。

 【文責:週刊ベースボール】