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【コラム】取り戻したストレートの“ある感覚” 逆転優勝を狙うDeNAのエース・今永昇太

 まさにエースの投球だった。7月25日の阪神戦(甲子園)。1対0で迎えた5回裏、DeNAの先発・今永昇太は一死から中井大介の失策で二塁にランナーを背負ったが「ここで失点してはいけない」と集中力を一段と高めた。梅野隆太郎を見逃し三振、秋山拓巳を投ゴロ。後続をしっかり仕留めてピンチを脱した。その後も力強い直球を主体に阪神打線を抑え込み、9回4安打で今季2度目の完封勝利。リーグ2位タイの9勝目を挙げ、チームを5連勝に導いた。

 今季は文句のつけようがない働きぶりを見せている。4年目で初めて開幕投手を任され、先発ローテーションを守り続けて監督選抜で自身初のオールスター出場も果たした。勝利以外でも防御率(2.57)、奪三振(128)でリーグトップを争う成績を残しており、投球内容も特出している。開幕から全17試合で5回以上を投げ、先発の指標となるクオリティースタート(6回以上、自責点3以下)は13試合を占める。「目標としている投手」と語る千賀滉大(ソフトバンク)や昨季最多勝の大瀬良大地(広島)に2度勝つなど、苦戦が予想されたゲームで白星をもたらしている。

 2016年、駒大からドラフト1位でDeNAに入団し、1年目に8勝、2年目に11勝をマーク。3年目の昨年、さらに大きな飛躍を果たすつもりでいたが、4勝の大不振。思いどおりの直球を投げられなかったことが原因だった。オフにフォームを見直し、体の使い方を「縦」から「横」に変更したことが功を奏した。今年は納得のいく直球が指先から放たれているという。

 「ストレートが良くないと試合の入りから不安ですし、ストレートがいいと、自分の持っている手の内をすべて見せなくてもいいというのが大きい。終盤にそれが生きてくるというか。自分の心にも余裕が生まれます」

 さらに、“ある感覚”がよみがえってきたことも大きいという。

 「一番はリリースするときのボールを押し込む感覚。打者の構えを見たときに、このリリースで、相手のどこに投げればストレートで押し込めそうだな、という感覚が戻ってきたんです。それは球速やトラックマンのデータには表れずに、周りからはよく見えてこない部分です」

 捕手の伊藤光が構えたミットに吸い込まれていくような感覚。投手板からホームベースまでの18.44メートルの空間を支配していることが好調の主要因なのだ。

 ペナントレースは風雲急を告げている。首位・巨人と最大10.5ゲーム差あった2位・DeNAだが19日からの7連勝もあり、29日現在4.5ゲーム差まで迫った。

 「僕は(先発なので)1週間に1回しか勝利に貢献するチャンスはないかもしれませんが、その1試合をしっかり勝てるようにしたいです。数字としては、自分が15勝、16勝を超えていかないとチームも浮上していかない」

 逆転優勝のために、エースは力強く左腕を振り続ける覚悟だ。

【文責:週刊ベースボール】