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NPBアンチ・ドーピングガイド2019

ルイス・ゴンザレス氏のアンチ・ドーピング規則違反に関する異議申立てに対する判断

2008年7月14日

  • ルイス・ゴンザレス 殿
  • 日本プロフェッショナル野球組織
  • アンチ・ドーピング調査裁定委員会
  • 委員長 加藤良三
アンチ・ドーピング規則違反に関する異議申立てに対する判断
第1 結論

当委員会が2008年5月26日にした制裁処分を維持する。

第2 理由

1 序

当委員会の貴殿に対する2008年5月26日付け制裁処分(以下「本件処分」という。)に対し、貴殿より、NPBドーピング検査実施要綱15条1項に基づき、2008年5月27日付けで、異議申立てがされ、同年6月4日に、貴殿に対し、弁明の機会が与えられた。 貴殿からは、2008年6月4日付け及び同30日付け弁明書(それぞれ添付資料付き)が提出され、当委員会にて、これらを慎重に検討したが、以下の通り、本件処分を維持すべきであるという結論に達した。

2「アンチ・ドーピング規則違反」の成立について

貴殿に対するドーピング検査は適正に行われ、その結果、禁止薬物クロベンゾレックス、アンフェタミン及びパラヒドロキシアンフェタミン(以下「検出薬物」という。)が貴殿の尿検体から検出されたことは、2008年5月26日付けの貴殿に対する制裁の通知において認定された通りであり、これらの事実については、貴殿も争っていない。 したがって、貴殿の「生体からの検体に、禁止物質、あるいはその代謝物又はマーカーが存在すること」は明らかであり、貴殿にNPBドーピング禁止規程2条1項が参照する世界アンチ・ドーピング機構(以下「WADA」という。)の定めた「世界ドーピング防止規程」2.1条所定の「アンチ・ドーピング規則違反」が成立することは疑いがない。

3 貴殿の弁解について

他方、貴殿は、2008年6月4日付け弁明書において、検出薬物を摂取した可能性として、 (1)服用していた抗リウマチ薬であるメトトレキサート、同薬の副作用予防薬であるフォリアミン(葉酸)及び (2)噛みタバコ、 (3)焼肉店で食べたキムチ、 (4)栄養ドリンクを挙げていた。

しかしながら、貴殿提出に係る平成20年6月23日付け慶應義塾大学薬学部竹田忠紘教授及び木津純子教授作成に係る報告書によれば、上記のうち、抗リウマチ剤(メトトレキサート、フォリアミン)、アドヴィル、ドリンク剤(リアルゴールド)及び噛みタバコから、検出薬物は検出されなかった。

検出薬物は、キムチを含め、日常人間が体内に摂取する飲食物に含まれるものではない。

このほか、本件において検出薬物が体内から排出される別の可能性を具体的に示す事情は見当たらない。

したがって、本件においては、貴殿が誤って検出薬物を摂取したことを示す事情は見当たらないといわざるをえない。

4 処分選択の合理性について

  1. (1)スポーツにおけるドーピングの防止については、2005年10月第33回国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)総会において「スポーツにおけるドーピングの防止に関する国際規約」(以下「規約」という。)が採択され、2007年2月1日に発効するなど、国際レベルにおけるドーピング防止の取組みが一段と進展している。
    我が国においても、2006年12月27日に規約を締結したところであり、文部科学省においては、我が国におけるドーピング防止活動の一層の推進を図るため、「スポーツにおけるドーピングの防止に関するガイドライン」を策定し、国内ドーピング防止機関及びスポーツ団体は、上記ガイドラインに沿って、ドーピング防止活動を実施することとされている。
    ドーピングは、選手の健康を害することとなるばかりでなく、他の選手との関係でアンフェアなものであり、スポーツ競技そのものの価値、評価を損なうものである。そして、青少年の憧れの対象であるプロ野球選手が、このようなドーピングをすることによる青少年に対する悪影響は計り知れないものがある。また、社会的にドーピングに厳しい眼が向けられていることは、マス・メディア等の取扱い方からも明らかである。
    以上のような事情に鑑み、日本プロフェッショナル野球組織は、ドーピングに対しては、断固たる態度で臨むことを基本としている。
    ところが、このような状況にありながら、貴殿は、前記のとおり、アンチ・ドーピング規則違反を犯し、しかも、誤って検出薬物を摂取したことをうかがわせる事情もなく、検出薬物摂取についての具体的な反省の弁もない。このようなことをも考え合わせれば、その情状は重いものといわざるを得ない。
    したがって、貴殿がこのような結果となったことについて心苦しく感じていること、以前このような処分を受けたことはなく、また、禁止物質を常習的に使用したとも認められないことを考慮しても、上記処分程度の処分はやむを得ないものといわざるを得ない。
  2. (2)貴殿が、弁明書等において述べた処分の相当性に関する主張に対しては、以下のとおり判断する。
  1. (ア)検出薬物の種類について
    検出薬物は、いずれも、NPBドーピング禁止規程2条2項が参照するWADAの定めた「世界ドーピング防止規程」2008年禁止表国際基準の定める「II 競技会検査で禁止対象となる物質・方法」中の「禁止物質」「S6.興奮剤」に含まれるものである。 この点につき、貴殿は、これらの興奮剤は、最も軽いカテゴリーに位置づけられる薬物であると主張する。 しかしながら、特にアンフェタミンは、それ自体を摂取したのであれば、我が国では、違法となる物質であり、「興奮剤」であるという一事をもって、ことさら処分を軽くすることは適切とは言えない。
  2. (イ)アメリカのメジャー・リーグ等との比較について
    また、貴殿は、アメリカのメジャー・リーグ等の取扱いに比し、本件処分が重過ぎることを指摘する。 しかしながら、ドーピングについて、どのような取組みをするかは、各国あるいは各競技団体が決すべきことである。 日本プロフェッショナル野球組織は、上記のとおり、プロ野球選手が禁止薬物を摂取することについては、厳正に対処する所存であり、他の競技団体で軽く取り扱われているという理由により、処分を変更する理由を認めない。 なお、WADAの基準によれば、本件の貴殿の行為は、「世界ドーピング防止規程」10.2条により、「2年間の資格剥奪」に相当するものであり、ことさら本件処分が重きに失するとは考え難いことを付言する。 貴殿は、同規程は、アマチュアのためのものであり、プロスポーツ選手の場合と同一に論じられないと主張するが、プロスポーツ選手の場合に、アマチュア選手よりも制裁を軽くすべきであるという主張は、まったく認めることができない。
  3. (ウ)他の主張について
    貴殿の他の主張についても、当委員会において検討したが、特に、本件処分を軽減すべきであるという結論に達しなかった。

5 手続の正当性

なお、貴殿は、2008年6月4日付け弁明書において、十分な反論の主張・立証の機会を与えるべきであることを主張されているが、当委員会は、貴殿に対し、再度の主張立証の機会を与え、代理人による2008年6月30日付け弁明書の提出を待って、今回の判断をするものであり、手続保障の点については、十分配慮されたものである。


よって、第1項の通り判断する。

以上