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日本野球機構オフィシャルサイト

NPBアンチ・ドーピングガイド2016

1.スポーツとドーピング-なぜ、ドーピングはいけないか?

ドーピングの種類

一般的には「薬を使って競技力を高めること」が「ドーピング」とされていますが、実際には薬以外にも、自分の血液を冷凍保存しておき、試合の直前に再び体内に入れ、酸素運搬能力を高める「血液ドーピング」や、ドーピング検査において、他人の尿とすりかえる行為など、また近年では細胞、遺伝子、遺伝因子、あるいは遺伝子表現の調整を競技力向上のために行う「遺伝子ドーピング」といった「方法」も禁止されています。

つまり、ドーピングには「禁止薬物」(正確には薬以外のものも含め「禁止物質」と記される)と「禁止方法」があります。したがって、これらの「禁止物質」や「禁止方法」についての知識や注意が必要だということになります。

ドーピングが禁止される理由

スポーツにおいて、なぜ、ドーピングは禁止されているのでしょう。その理由は以下の4つとされています。
いったいどういうことなのか、それぞれについてみていきましょう。

ドーピングが禁止される理由
1.選手の健康を害する

前述のように、ドーピングでは薬を用いるのが一般的ですが、その薬自体は本来病気やケガの治療に用いられるものです。しかし、競技力向上を目的に用いられる場合は、治療に比べその量が非常に多くなり、それが選手の健康を害することにつながります。その後遺症に長く悩まされたり、最悪の場合は命を落とすこともあります。

薬は、病気やケガを治すために使用するもので、そのためには必要なものです。しかし、その薬のよい効果を悪い方向に利用し、筋力や持久力などを高めようとするのがドーピングです。

日本では、薬局・薬店が町にあふれ、薬の入手は簡単です。それだけにプロ野球選手は注意が必要だということになります。

1.選手の健康を害する
なぜ「ドーピング」というのか

「ドーピング(doping)」という言葉は、南アフリカ共和国の原住民カフィール族が、お祭りのときに“ドップ”という強い酒を飲んで景気づけを行っていたことから始まったとされています。

また、アフリカや中南米の原住民が、狩りや戦闘におもむくとき、コカの葉(コカインを含む)やコーラの実(カフェインを含む)を元気づけに用いていたり、第二次世界大戦においては、日本軍やドイツ軍が眠気覚ましに興奮剤を用いていたという事実もあります。

いずれの場合も、何かを摂取することで、「元気になる」という効果をねらったもので、ある意味自然なことですが、ことスポーツにおいて、またそれが薬物であり、「競技力向上」を目的としていたら、それは「ドーピング」ということになります。競技力向上はあくまで、トレーニング、練習、そして栄養と休養をベースにした上に成り立つものなのです。

*参考文献:『新・ドーピングってなに?』((財)日本水泳連盟、1996)

2.アンフェアである

スポーツ界はドーピングを完全に否定しています。スポーツで競い合う場合、世界的に認められたドーピング禁止規程を守ることは絶対必要な条件なのです。いわば、スポーツ界全体のルールなのです。ドーピングによって競技能力を高めようとすることは、ドーピングをしていない人に対して不公平になります。

スポーツにおいてフェアプレーは尊ばれますが、ルールに反するアンフェアなプレーにはペナルティがかせられます。ドーピングはスポーツ選手ならだれもがもっていなければいけない「フェアプレーの精神」に反する行為です。いくら大活躍しようが、大記録を打ち立てようが、そのプレーのかげにドーピングがあれば、すべては台なしになってしまうのです。

2.アンフェアである
ドーピングの簡単な歴史

古代ローマでのオリンピアにおける二輪馬車競技で、競走馬に蜂蜜液を飲ませていたという例があります。これは馬が対象ですが、少しでも競争を有利にしようとした行為としてりっぱなドーピングです。実際に、ドーピングという言葉は、競走馬、競走犬に対して用いられていたようですが、今では人間に使われるようになっています。

記録上残された最初の人間のドーピングは、1865年、アムステルダム運河水泳競技で、興奮剤を使用して競技に参加しています。

ドーピングによる最初の死亡例は、1886年、イギリスの自転車選手が600kmレースで、興奮剤を使用してのものです。1960年、ローマ・オリンピックではオリンピック史上最初の死亡事故が起きました。やはり自転車選手で興奮剤の使用が原因でした。

このように当初は興奮剤が多かったのですが、やがて蛋白同化ステロイドなど筋肉増強剤が中心になり、その使用をごまかす利尿剤、また精神の安定をもたらすベータ遮断剤、持久力を高める血液ドーピングやEPOと呼ばれる造血作用のあるものなどさまざまな薬や方法が使用されるようになりました。薬そのものは病気の治療に必要なものですが、その作用を競技力向上に使おうとするのがドーピングであり、したがって健康を害すだけでなく、アンフェアとされるのです。

*参考文献:『新・ドーピングってなに?』((財)日本水泳連盟、1996)

3.社会に悪影響を与える

なぜ、ドーピングは社会に悪影響を与えるのかを考えてみましょう。

プロ野球選手はとくに少年少女たちのあこがれの対象です。野球をしている子どもにとって、「将来はああいうふうになりたい」という存在がプロ野球選手です。それは、みなさんの子ども時代をふりかえるとよくわかることでしょう。

そのあこがれのプロ野球選手が「ドーピング」をしていたとわかったらどうなるでしょう。「活躍するにはドーピングしてもよいのだ」「あれくらいの選手になるにはドーピングが必要なのか」と思う子どもも出てくるかもしれません。あるいは、尊敬していた選手がドーピングで活躍の場を奪われたとしたら、野球、さらにはスポーツがきらいになるかもしれません。

プロ野球選手がお手本をしめそう!

プロ野球選手は、スポーツ選手のなかでももっとも脚光をあびる存在です。それだけに、何をいうか、どういうことをしているかは、みている人に大きな影響を与えるのです。ドーピングに対して、プロ野球選手が断固たる姿勢をしめすことは、それをみている子どもたち、ひいては大人を含む社会全体にとても重要な意味をもたらします。

日本のスポーツのなかでももっとも人気があるのがプロ野球です。プロ野球選手が率先して「アンチ・ドーピング」の姿勢をしめし、それを実践することはとても大きな意味があります。だから、「プロ野球選手がお手本をしめそう!」。

また、麻薬や覚醒剤もドーピング禁止物質に含まれていますが、 これらの使用は法律でも禁止された反社会的行為であり、プロ野球がアンチ・ドーピングに真剣に取り組むことにより、「薬物乱用」に対して社会に手本をしめすことにもなります。このようにプロ野球選手のドーピングは、さまざまな意味で社会に悪影響を与える可能性があります。

3.社会に悪影響を与える
4.スポーツそのものをダメにする

2003年3月に「世界アンチ・ドーピング規程」が制定されました。これは、これまで以上にアンチ・ドーピング運動を強化・推進しようというもので、スポーツという1つの分野のみの話ではなく、世界各国政府がアンチ・ドーピングに強い姿勢を示したものといえます。

そこでは、「ドーピングがスポーツ固有の価値を損なうから禁止すべきである」とされています。

むずかしい表現ですが、人々はスポーツをしたり、みたりすることで、感動や達成感、一体感、爽快感などを得ます。また、スポーツには、フェアプレー、誠実さ、一生懸命、努力、ルール・相手・審判の尊重、勇気、リーダーシップ、協調性など、人として望ましい要素が多く含まれています。それが、大きな意味でのスポーツのよさです。プロ野球が、このような問題のあるドーピングを放置すれば、結局はプロ野球の価値を損ねることになるのです。優れたプレーに拍手し、感動する観客が、その選手がドーピングをしていたとなると、もうプロ野球はおろか、スポーツから目をそむけることになりかねません。

これが「ドーピングがスポーツ固有の価値を損なう」という意味なのです。

4.スポーツそのものをダメにする
ドーピングの定義

「ドーピング」は一般的には、薬やその他不正な方法を用いて競技力向上をはかることですが、それではあいまいで、取り締まることができません。そこで、NPBアンチ・ドーピング規程では、ドーピングの定義として、次のように述べられています。

『本規程においてドーピングとは、世界アンチ・ドーピング機構(以下「WADA」という)の定めた「世界アンチ・ドーピング規程」に従い、「アンチ・ドーピング規程違反」が発生することをいう』

つまり、WADAで定めた禁止表に書かれた「禁止物質」「禁止方法」を用いた場合、アンチ・ドーピング規程違反となります。検査の方法については、「2.ドーピング検査とは?(検査の手順)」を参照してください。また、「アンチ・ドーピング規程違反」となった場合は、 ペナルティ(制裁・せいさい)がかされますが、ドーピング検査で禁止薬物が検出された場合のみならず、検査を拒否したり、禁止物質を所持あるいはドーピングを手助けしても「アンチ・ドーピング規程違反」となり、 ペナルティがかされますので、注意してください(制裁については、「5.制裁について」を参照)。