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日本野球機構オフィシャルサイト

NPBアンチ・ドーピングガイド2020

9.ドーピング検査Q&A

Q1 なぜ、プロ野球なのにドーピング検査をするのですか?
A1
 ドーピング検査は、もともとはオリンピックから始まりました。ごぞんじのように、かつてオリンピックにプロは参加できなかったのですが、今ではバスケットボールの「ドリームチーム」はもちろん、野球でもプロ選手が多数参加しています。また、アンチ・ドーピング運動は世界的高まりをみせ、日本でも国体やJリーグでもドーピング検査が実施されるようになりました。プロ選手の場合、職業としてスポーツをしているわけですが、もし「ドーピング違反」で試合に出られなくなった場合、選手生活への影響が大きく、あまり積極的にドーピング検査を導入しようという動きはありませんでした。しかし、高まるアンチ・ドーピング運動と、何よりもドーピングによってスポーツそのものがだめになるという理由から、MLBをはじめプロスポーツにもドーピング検査が導入されるようになったのです。
 選手のみなさんにとってはわずらわしいこともあるでしょうが、なによりも日本のプロ野球と選手のみなさんを守るためにドーピング検査が行われるのです。クリーンな日本プロ野球であるから、人々から応援されるのです。クリーンさを保つため、ご協力をお願いします。
Q2 どうしてもドーピング検査を受けなくてはいけないのですか?
A2
 ドーピング検査の対象に選ばれた場合は、断ったり、延期したりすることはできません。「今日は都合が悪いから」とか「今度にしてほしい」とか「自分はなにもやっていないから」というのは理由になりません。選ばれたら、拒否できないのです。もし、拒否したり、指定の時刻にドーピング検査の場所に行かなかったら、それだけで「ドーピング違反」になります。
Q3 オフシーズンには、ドーピング検査はないのでしょうか?
A3
 ドーピング検査には、シーズン中に行う競技会検査と、オフシーズンに行う競技会外検査の2種類があります。競技会外検査では、不定期にドーピング検査を行うことができます。ですので、選手を引退するまでは、いつでも検査を受ける心構えをしていなければなりません。
Q4 ドーピング検査で禁止物質が検出されたときには、どうなるのですか?
A4
 ドーピング検査では、検体(尿、血液)をA、B2つのボトルに採取します。その1つのボトル(A検体といいます)から禁止物質が検出されたとき、もう1つのボトル(B検体といいます)の検査を要求することができます。B検体の検査結果も同じであれば、ドーピング検査陽性になり、制裁が科されます。ただし、制裁を決定する前に選手本人が弁明する機会が与えられます。
Q5 自分ではまったくその気がないのに「ドーピング」とされることはありえますか?
A5
 ドーピング検査では「その気があったかどうか」ということよりも、ドーピング検査で禁止物質が検出されたかどうかが問題になります。検出されれば、「陽性」であり、ドーピング違反が問われます。
 また、アンチ・ドーピングのルールでは、摂取するものに対して選手自身が責任を負うという、非常に厳しいルールとなっています。たとえ禁止物質が入っているのを知らないで、風邪薬や胃腸薬をのんだ場合であっても、その薬を確認せずに使用した選手の責任が問われることになります。
Q6 Q5の場合、「無罪」を主張したり、「制裁を軽くする」ことはできないのですか?
A6
 アンチ・ドーピングのルールでは、前述のとおり、「摂取するものに対して選手自身が責任を負う」ことが課されています。と同時、その責任を果たしていること、また自分がクリーンであるということを自ら証明しなければなりません。
 検査結果で陽性となったとき、弁明の機会で、禁止物質がどのようにして(何が原因で)体の中に入ることになったのか、またアンチ・ドーピングにおける選手としての責任を果たしていたかを自らが証明しなければなりません。そのことが証明されてはじめて、「無罪を主張」したり、「制裁を軽くする」ことが可能になります。
 これらを証明する方法は、「記録」を残すことです。薬やサプリメントを買ったこと、使ったこと、人に聞いたり自分で調べて禁止物質が含まれなことを確認したことなど、どのような形でも良いので日頃から薬やサプリメントの記録を残すことを心がけてください。この選手手帳の後ろにも記録欄がありますので、ぜひ利用してください。
Q7 ドーピング検査陽性となり、制裁が決定された場合、抗議することはできないのですか?できるとしたら、どうすればよいのですか?
A7
 この場合の「抗議」は規程上は「異議申立て」と呼ばれます。当該選手は、処分がいい渡されてから実働日の10日以内に所属球団を通じて異議申立ての申請を「NPBアンチ・ドーピング特別委員会」に提出することができます。
Q8 禁止物質・方法にはどのようなものがあるのですか?
A8
 世界アンチ・ドーピング機構(WADA)の禁止表は『選手手帳』にしめしましたが、大きく次の3つに分けることができます。Ⅰ常に禁止される物質と方法(競技会(時)検査および競技会外検査)、Ⅱ競技会(時)検査でⅠに加えて禁止される物質、Ⅲ特定競技で禁止される物質、そして禁止されてはいないけれど乱用を監視する物質のリストとして監視プログラムがあります。ただし、Ⅲは野球には関係ありません。全体的にいうと、競技力を向上させる薬・方法、違反物質を使用していることをかくすための薬・方法が禁止物質・方法ということになります。
Q9 ドーピング違反になるのは、飲み薬だけですか?
A9
 いいえ、飲み薬だけではありません。塗り薬、貼り薬、吸入薬、坐薬、そして、注射薬など、薬には禁止物質が入っているかもしれないということを常に意識しなければなりません。
Q10 「くすり」でなければ、ドーピング違反にならないのですか?
A10
 サプリメントの中にも禁止物質が入っている場合があります。(→Q18へ)
 また、まれなケースではありますが、海外の製品で「天然成分由来」を強調したひげを濃くするクリームの中に禁止物質が入っていた例がありました。
Q11 プロ野球選手は病気やケガのときにお医者さんからもらった薬も使えないのですか?
A11
 原則として、禁止物質が含まれた薬は使えません。しかし、治療のためにどうしても必要な場合には絶対に使えないわけではありません。所定の用紙(TUE申請書)で申請し、許可されれば、使用できます。禁止物質が含まれているかどうか、よくわからないときは、薬物名を記しておき、アンチ・ドーピングに詳しいスポーツドクターかNPB医事委員会に問い合わせてください。
Q12 内科的な疾患を抱え常備薬を常用する選手は、チームドクター以外の個々のかかりつけ医師の署名によるTUE申請はできるでしょうか?
A12
 TUEの申請は、アンチ・ドーピングに詳しいドクターであれば誰でもかまいません。チームドクターである必要はありません。
Q13 糖質コルチコイドの局所投与の際のTUE申請は不要ですか?
A13
 糖質コルチコイドを関節内、関節周囲、腱周囲へ注射する場合や吸入する場合、また眼、耳、鼻、口腔内、歯肉、皮膚へ使用する場合は、局所投与となり禁止されていません。 したがって、TUE申請は不要です。
Q14 ぜんそく治療のベータ2作用薬吸入に関して変更された点はありますか?
A14
 吸入で使用可能な成分(TUEの申請は不要)は変わりませんが、使用方法が明確化されました。
 サルブタモール(サルタノール、アイミロール):24時間で最大1600μg、いかなる用量から開始しても12時間で800μgを超えないこと
 サルメテロール(セレベント、アドエアなど):24時間で最大200μg
 ホルモテロール(シムビコート、フルティフォーム):24時間で最大投与量54μg
 プロカテロール(メプチン)、ビランテロール(レルベア)などは吸入で使用した場合でも禁止物質に該当し、使用時にはTUE申請が必須となります。
 2017年にこのセクションに該当する禁止物質名が明記されましたが、2018年、ツロブテロール(ホクナリン)が追加されました。この成分はテープ剤で風邪のせきどめとして処方されることがありますので注意が必要です。
Q15 市販の薬でもドーピング違反になることはありますか?
A15
 あります。総合感冒薬(風邪薬)や胃腸薬、せきどめなど、また漢方薬でも禁止物質が含まれていることがあります。安易に市販の薬をのまないようにしてください。使ってよい薬、特に気をつけたい市販薬(OTC医薬品)の一覧を掲載しましたので参照してください。
Q16 酸素カプセルはドーピング行為になりますか?
A16
 なりません。2020年のWADA禁止表でもM1.血液及び血液成分の操作の項で酸素摂取や酸素運搬、酸素供給を人為的に促進することは禁じていますが、「但し、吸入による酸素自体の補給は除く」と明記されていますので、高圧空気カプセル、高圧酸素室、ボンベなどによる酸素吸入などはドーピングにはなりません。
Q17 「元気が出る」注射や点滴は認められますか?
A17
 前述(7.ケガや病気のときはどうすればよいか、TUEについて「正当に受ける静脈注入・花粉症の対策等についてNPB医事委員会の見解」)のとおり、入院設備のある医療機関において、ドーピング禁止物質ではない薬剤の静脈注射を正当に受ける場合は認められます。
 それ以外の場所で行う12時間あたり計100mlを超える静脈注射は、ドーピング禁止ではない薬剤であっても、ドーピングになりますので注意してください。
Q18 サプリメントでドーピング違反ということはありますか?
A18
 海外のサプリメントのなかには禁止物質を含むものがあるので要注意です。成分表示がないものや、メーカーに問い合わせても、その内容を教えてくれなかったり、「秘密だ」といわれるものは使わないほうがよいでしょう。
 サプリメントというより、滋養強壮薬(精力剤)のたぐいは禁止物質が含まれているケースが多く、プロ野球選手は使わないほうがよいでしょう。
Q19 サプリメントを使用する時の注意点は?
A19
 サプリメントは食品に分類されるため、すべての含有成分の表示義務はありません。したがって表示されていない成分を含有している可能性がありそれが禁止物質である場合があります。
 国際オリンピック委員会も世界アンチ・ドーピング機構も、このようなサプリメントの危険性について再三注意喚起をおこなっており、その使用について推奨していません。サプリメントが原因で違反が疑われる検査結果となってもその責任はすべて選手自身に課されます。
 栄養摂取の基本は食事であり、サプリメントはその意味のとおりどうしても食事で補えない栄養素を補うものです。
Q20 ドーピングに関してわからないことがあった場合、どこに聞けばよいでしょうか?
A20
 身近にアンチ・ドーピングに詳しいスポーツドクターがいれば、その先生に聞いてみるのもよいでしょう。何か疑問があれば最終頁に記した、NPB医事委員会にお問い合わせください。