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【コラム】好調・楽天に勝利を呼び込む闘志あふれるクローザー

 楽天の背番号1がクローザーにとって理想的な投球をやってのけた。4月25日のロッテ戦(東京ドーム)、4対2と楽天が2点リードの9回表、マウンドに立ったのは松井裕樹だ。まず先頭の細谷圭に対して2球で追い込み、最後は外角高めの直球で3球三振に。次打者・M.ダフィーも146キロの直球で、3人目の鈴木大地も外角のスライダーで3球三振を奪取した。「甘くならないようにということだけ考えました」。この回に要したのは9球のみ。プロ野球史上17人目で18度目の“三者連続3球三振”を飾った。

 投球をバットに当てられ、打球がインフィールドに飛べば、たとえ打ち取ったとしてもエラーなど“間違い”が起こる可能性がある。それをゼロにするためには打者から三振を奪うしかない。クローザーという、自身の失敗がチームの敗戦に直結するポジションでは、特にその能力が求められる。左腕からキレのある直球、スライダーで相手を封じ込める松井裕。5月1日現在、17回を投げ、20三振をマーク。10.59と高い奪三振率を誇っているのは首位を走るチームの中で頼もしい限りだ。

 ただ、長いシーズン、いつもうまくいくとは限らない。4日後の29日、日本ハム戦(札幌ドーム)。2対2と同点の9回裏、松井裕は記録を作った25日以来の登板を果たした。先頭の松本剛は遊ゴロに抑えたが、続く近藤健介に四球、中田翔から三振を奪った後、B.レアードに左前打を浴びて二死一、三塁とピンチを迎えた。打席には田中賢介。1ボール1ストライクからの3球目、甘く入ったスライダーをとらえられ、右前へサヨナラ適時打。試合前まで14試合に登板して失点ゼロだったが、今季初失点で初黒星を喫した。

 試合後、「自分の勝負弱さだと思う」と松井裕は唇をかんだが、落ち込んだままではいられない。翌日の同カード、すぐにリベンジの舞台が巡ってきた。2対1とわずか1点リードの9回裏、マウンドへ上がった。簡単に2人を凡打に打ち取ったが、打席には前日、サヨナラ打を浴びた田中賢介。ここで燃えないわけがない。再び1ボール1ストライクからの3球目、今度は内角低めの直球で三邪飛に仕留めてチームに勝利を呼び込んだ。「今日やられたら意味がない」と松井裕は力強い眼を取り戻していた。

 クローザーには気持ちの切り替え、強靭なメンタルも必要だ。リーグトップタイの10セーブを稼ぐ松井裕がいる限り、楽天は首位戦線をにぎわし続ける。

【文責:週刊ベースボール】