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【コラム】古巣・西武戦で史上2人目の2打席連続満塁弾、「どすこいポーズ」に込めたソフトバンク・山川穂高の思い

「うまくいかないときって、どうやっても当たらないんですよね」

 前日まで打率.200と打撃が低迷していたソフトバンク・山川穂高。4月13日の西武戦(ベルーナドーム)も第1打席は三ゴロ、第2打席は中飛、第3打席は空振り三振とバットから快音は生まれなかった。そして迎えた6回の第4打席。一死満塁と絶好の得点機で打席に入った。しかし、カウント0-2とあっという間に追い込まれてしまう。三振の再現を期待する西武ファンからは大きな拍手が沸き起こる。完全アウェーの状況下で水上由伸が投じた3球目、外角高めに浮いたスライダーを見逃さなかった。フルスイングから放たれた打球は西武ファンが陣取る左中間席へ。何とかバットに……。必死な思いは、最高の結果になった。

 今にも泣きそうな表情でベースを回った山川はホームインのあと、ベンチ前で仲間とともにお決まりの「どすこいポーズ」。西武ファンからは大ブーイングが起こった。紆余曲折を経て昨オフ、西武からソフトバンクへFA移籍した山川は移籍後、「どすこいポーズ」をやることに少し迷いもあったという。しかし、「ロッカーでの会話の中でチームメートから『ホームランを打ったら、やってね』という言葉があったので。一緒に戦っていく仲間が盛り上がる一つの方法。打ったら僕はやるもんだ、というところでいいのかなと思います」と続ける決心を固めた。

 8回に再び無死満塁で打席が巡ってきた。カウント0-1からの2球目、豆田泰志の真ん中直球をとらえた会心の当たりは左翼席上段へ。2打席連続満塁弾は2006年の二岡智宏(巨人)以来、プロ野球史上2人目、パ・リーグでは初の快挙だった。2回目の「どすこいポーズ」は「本当に迷いましたけど、小さく、小さく」。ソフトバンクファンに向けて控えめに決めたが、四番のバットが火を噴いて11対2の大勝を果たした。

 今年からソフトバンクの一員となり、キャンプから対外試合、オープン戦と出場試合はすべてで四番を任された。開幕後も四番が定位置。三番・柳田悠岐、五番・近藤健介と球界を代表する左打者に挟まれ、強打を発揮することが役割だ。柳田も「ここで『ホームランが欲しいな』というときに期待できるバッターだと思う」と山川のバットに一目を置いている。

 西武時代の2018年には全試合四番でスタメン出場。47本塁打を放ってキングに輝き、チームを10年ぶりのリーグ優勝に導いた。「優勝できたら仕事をした、できなかったら、仕事ができなかったということ」と語ったこともある。勝敗に直結する打順に対するやりがいはもちろん感じているが、「やっている最中は、そんなことは考えない」という。「しっかり自分のベストスイングをした結果がホームランになれば、結果的にうれしいけど、そうならなくても自分のベストスイングをする準備をしていけたらいい」と全力を尽くすことだけを考えている。

 西武時代から変わらない練習量は、若手選手のお手本にもなっている。有形、無形の力をチームに与えるのが四番だ。ホークスの新四番は目の前の打席に集中して、4年ぶりの歓喜を九州の地にもたらす。

【文責:週刊ベースボール】