【コラム】執念のヘッドスライディングで連敗ストップ、キャプテン就任の楽天・鈴木大地が貫くスタイル
6連敗で借金13――。苦境に立つ楽天で仲間を鼓舞するプレーを見せたのは36歳のベテランだった。6月2日に昨年から廃止されていたキャプテンに就任したチーム最年長の鈴木大地。同日のDeNA戦(横浜)、1点を追う8回二死一、二塁で代打出場するとフルカウントからフォークに食らいつく。一、二塁間の深い位置へ飛んだ打球を二塁手がつかみ、一塁へ送球も鈴木大は一塁へ執念のヘッドスライディングで間一髪のセーフ。同点の適時内野安打をもぎ取った。
「足がもつれてしまったので、ヘッドスライディングのほうが速いと思って。泥臭い形でしたけど、ヒットになってくれました。みんなでつないでくれた、そういうものが全部乗っかった1打席になったと思います。『C』マークをつけさせてもらって、かなり重い。状況も状況ですし、この年齢で僕がつけるという意味合いもそうですし。本当に軽いものではないなというのはすごく思っています」
奮起した打線はさらに二死一、三塁のチャンスでマッカスカーが左前へ勝ち越し打。9回には代打・伊藤光のソロ、平良竜哉の2ランで3点を加え、7対3で連敗をストップさせた。
三木肇監督は「野球人としての人間性、今までの経験を含めて、先頭に立ってやってほしい」と背番号7にキャプテンを託した意図を明かす。鈴木大は「とにかく前へ、前へチームが進むように、そこの先頭にしっかり立ちたい」と呼応したが、「ただ、やることは今までとは変わらない」とも語る。キャプテンの肩書きがあろうとなかろうと、チームが勝つために最善を尽くすのが鈴木大のスタイル。若手に負けず劣らず、練習も試合もベンチでも声を張り上げる。その姿は理想の先輩像であり、模範だ。
楽天ファンからは「だいちお兄さん」の愛称で絶大な人気を誇る。常にファンサービスにも熱心だが、そこにはこんな思いも隠れている。
「あくまで僕の考えですけど、そういうことも一生懸命できない選手が野球を一生懸命できるかって言われたら、僕は違うと思うんです。プロ野球選手が野球で努力するのは当たり前。疲れているというのはやらない理由にはならないのかな、と」
ロッテ時代の2014年、プロ3年目にしてキャプテンに就任。経験を重ねた大先輩も多い中、キャプテンの在り方とは何かを考え、肩に力が入っていった。そんな鈴木大に当時の伊東勤監督が声を掛けた。
「『特別なことはしなくていい。大地は今までどおりにやってくれ』と言われて、変わらず一生懸命やればいいんだと思うことができました」
チームは3日に連勝を飾ったが、4日から3連敗。なかなか一気に浮上とはいかないが、鈴木大の野球に対して真剣に取り組む姿勢は変わらない。自分がやるべきことに集中して、反攻につなげていく。
【文責:週刊ベースボール】