【コラム】「鳳凰」から名付けられたDeNA5年目右腕、プロ初完封をつかんだ深沢鳳介がさらに羽ばたく
その名に込められた願いが、現実になり始めた。
7月18日のヤクルト戦(横浜)、DeNAの5年目右腕・深沢鳳介が9回4安打無失点の快投を披露し、プロ初完封勝利を飾った。打線の大量援護にも恵まれたが、一度も相手に流れを渡さず最後のアウトまで投げ抜いた投球は圧巻だった。7月5日のヤクルト戦(神宮)でプロ初勝利を挙げたばかりの22歳が、わずか2週間足らずで新たな勲章を手にした。
専大松戸高から2022年ドラフト5位でDeNAに入団。制球力に加え、サイドスロー気味の腕の位置から繰り出す力強い直球と多彩な変化球を武器に、将来の先発ローテーション入りを期待されてきた。しかし、その歩みは決して順風満帆ではない。24年3月には右肘のトミー・ジョン手術を受け、シーズン終了後には育成契約へ切り替わった。将来を嘱望された右腕にとって大きな試練だったが、長いリハビリ期間も腐ることなく復帰だけを見据えて汗を流した。その努力が実を結び、25年オフに支配下登録へ復帰。今季は4月7日の中日戦(横浜)でプロ初登板初先発を果たすなど、一歩ずつ階段を上がってきた。
試合後は、大歓声に包まれた本拠地のマウンドを振り返り、感謝の思いを口にした。
「9回は鳥肌が立つような声援でした。本当に今までハマスタでいいピッチングができなかったなかで後押しをしてもらいました。ハマスタで活躍するのが目標だった。初めて完封できてよかったです」
横浜スタジアムで結果を残したい――。その思いを抱き続けてきた右腕にとって、この完封勝利は何より大きな意味を持つ一戦となった。
そんな深沢の名前は、一度聞けば忘れられないだろう。
「僕には兄がいるんですけど、名前に『龍』が入っているんです。その影響もあって、『鳳凰』から『鳳』の一文字を取ったと聞いたことがあります。『おうすけ』は当時はやっていたドラマ『やまとなでしこ』で、堤真一さんが演じていた『欧介』から来ているそうです」
古来、龍と鳳凰は対をなす縁起の良い存在とされる。さらに鳳凰は、平和や繁栄の象徴であり、困難を乗り越えて再び舞い上がる存在としても語られる。トミー・ジョン手術、育成契約、長いリハビリ――。苦難を経験しながらも再び一軍のマウンドへ戻り、プロ初勝利、そして初完封までたどり着いた歩みは、その名が持つイメージとどこか重なる。
それでも、本人は決して立ち止まらない。
「同級生も先にプロ初勝利していたので悔しい思いもありましたけど切磋琢磨していきたい。バッターにもっと向かっていけるピッチングができればいい。まだまだ勝ちたいです」
もちろん、プロ初完封勝利は通過点に過ぎない。先発ローテを守り、チームを支える存在へと成長できるか、真価が問われる。それでも、この1勝が大きな自信になることは間違いない。さらなる飛躍へ、右腕はこれからも力強く羽ばたいていく。
【文責:週刊ベースボール】