• セントラル・リーグ
  • 阪神タイガース
  • 横浜DeNAベイスターズ
  • 読売ジャイアンツ
  • 中日ドラゴンズ
  • 広島東洋カープ
  • 東京ヤクルトスワローズ
  • パシフィック・リーグ
  • 福岡ソフトバンクホークス
  • 北海道日本ハムファイターズ
  • オリックス・バファローズ
  • 東北楽天ゴールデンイーグルス
  • 埼玉西武ライオンズ
  • 千葉ロッテマリーンズ
  • 侍ジャパン

日本野球機構オフィシャルサイト

ニュース

NPBニュース

【記録員コラム】サヨナラヒット?サヨナラセンターゴロ?

 7月23日(木)、みずほPayPayドームで行われたソフトバンク対オリックス15回戦のことです。

 5対5の同点で迎えた9回裏一死満塁から柳田悠岐選手が放った打球はセンターへの大飛球。中堅手の渡部遼人選手が懸命に追いかけ、フェンス際でジャンプして捕球を試みましたが、着地の衝撃でグラブからボールが零れてしまい、判定はノーキャッチ。三塁走者の牧原大成選手が生還し、グラウンドには歓喜の輪が出来ました。この時、オリックス守備陣は8-6-2-5-4とボールを転送していました。そして、オリックスベンチは審判団にリクエストを求めます。もし仮に、渡部選手の完全捕球が認められ、三塁走者のリタッチが早ければアピールアウトによる併殺が完成して、ゲームセットが一転、試合は延長戦に突入します。

 結果的には、リプレイセンターによる映像検証の結果、打球がノーキャッチであることが確認され、判定通りに決着したわけですが、この一連のプレイをめぐって、一部で生成AI等をソースとした誤った規則解釈が拡散されている例を目にしましたので、この機会に一つずつ解説していきたいと思います。

 まず、柳田選手の打撃結果は「安打」です。センターゴロではありません。

 二塁走者の山本祐大選手は二塁ベース付近に留まっていたため、ボールが三塁に転送された時点で封殺された形になりますが、これを以て柳田選手の打撃結果が「凡打」になることはありません。なぜでしょうか?

 その答えは【記録員コラム】サヨナラの場面では内野ゴロが安打に!?にも記されているように、サヨナラの場面では三塁走者の得点を許してしまった時点で、他の走者をアウトにしたところで意味がありません。したがって、打者としては三塁走者を得点させる打球さえ放てば良いという考え方に基づいて「安打」と記録されます。

 では、山本祐選手を含め、塁上にいた他の走者が走らずとも、三塁走者さえ生還していれば良かったのでしょうか?答えはNOです。

 この場面は満塁なのでフォースアウト(封殺)が成立します。さらに、一死満塁のため、フォースでの併殺──例えば8-5-4のように、二塁走者と一塁走者を順に封殺することが出来れば、三塁走者が先に本塁を踏んだとしても、得点は認められません。内野ゴロに置き換えて考えてみると分かりやすいかもしれません。一死満塁で4-6-3の併殺打を打った場合、第3アウトより三塁走者の生還が先でも得点が認められないのと仕組みは同じです。

 一部で公認野球規則5.08(b)を挙げて「サヨナラの場面では三塁走者と打者走者さえ進塁していれば得点が認められる」という誤解が広まっていましたが、この項は打者が「四球、死球、その他のプレイ(打撃妨害など)」で走者となった場合に限ります。打球それ自体には安全進塁権は与えられませんから、今回の場面では全ての走者に進塁の義務があります。

 オリックスの若月健矢選手はこのことに気付いており、外野から戻ってきたボールをすぐさま三塁に転送すると同時に、三塁手に二塁へ転送するように指示を出していました。今回は一塁走者の柳町達選手がしっかりと二塁に進塁していたために併殺の完成はなりませんでしたが、もし仮に二塁走者、一塁走者ともに進塁していなかった場合は、サヨナラの危機からチームを救うビッグプレーとなっていたかもしれません。

 ちなみに、最初から「キャッチ」の判定で、一塁走者あるいは二塁走者が飛び出していた場合は、単純に第3アウトと三塁走者の本塁生還のどちらが速いか?(タイムプレイ)という話になります。

 今回のプレイをきっかけに野球のルールに関して少しでも興味を持たれた方は、ぜひ実際に公認野球規則を手に取ってお読み頂けますと幸いです。

 最後までお読みいただきありがとうございました。

【NPB公式記録員 大塚雄太】