【コラム】日本プロ野球史上6人目、外国籍投手としては初の快挙、巨人のライデル・マルティネスが通算「250セーブ」達成
いつもと変わらない圧倒的なパフォーマンスで、偉大な記録に到達した。9月10日の中日戦(東京ドーム)、5対3と巨人2点リードの9回にライデル・マルティネスの出番がやってきた。名前がコールされると、小走りでマウンドへ。相手は「できれば避けたい」と願っていた古巣だったが、“恩返し”とばかりに右腕を振った。
先頭の石川昂弥を2球で二ゴロ、続く花田旭もやはり2球で三ゴロに。最後は岡林勇希を1球で二ゴロに仕留め、わずか5球で試合を締めくくった。「何が起きるか脚本は書いていない。彼らを相手に達成する運命だった」と目の前の仕事を完遂し、いつものようにグラブを大きくたたいて天を見上げた。
通算250セーブは日本プロ野球史上6人目、外国籍投手としては初の快挙であり、佐々木主浩(元横浜ほか)の435試合を更新する、史上最速411試合目での達成だった。実働9年、記録達成時の通算防御率1.59、WHIPは驚異の0.86。今季の最速159キロの剛球もさることながら、この安定感こそが、真骨頂と言えるだろう。なお、名球会入会の条件を満たした外国籍選手は、アレックス・ラミレス(元ヤクルトほか)以来2人目だ。
記録達成の要因を尋ねられ「日々の練習の継続と、大きなケガなくプレーできたこと」を挙げる。謙虚に、真摯に野球に向き合ったことで、現在の姿がある。
初来日は2017年、20歳のとき。中日の育成選手として日本でのキャリアをスタートさせた。当時の背番号は211。キューバとは異なる“日本式”のトレーニングで鍛えられ、2018年4月に支配下昇格(背番号は97)を勝ち取った。当初は先発起用が続いていたが、同年8月14日のDeNA戦(ナゴヤドーム)でクローザーデビュー。この試合では被安打2、与四死球2で押し出し四球を与えるなど、苦いマウンドとなったものの、キューバ代表でも経験のあるポジションがこの後、天職となっていく。
2019年6月11日、オリックス戦(京セラD大阪)で来日初セーブを挙げると、同年は8セーブ。2020年=21セーブ、2021年=23セーブと数字を伸ばし、2022年には39セーブをマークして、初めて最多セーブ投手のタイトルを手にした。2023年はタイトルこそ逃したものの、32セーブで防御率は0.39と驚異的な成績を残す。2024年にも43セーブで2度目の最多セーブ投手となり、名実ともに球界No.1クローザーに。この直後、大きな転機が訪れる。
2025年、7シーズンを過ごした中日に別れを告げ、巨人への移籍を決断。新天地でもクローザーを任されて、移籍初年度は西村健太朗(元巨人)の持っていた球団のセーブ記録(42セーブ※2013年)を大きく更新する46セーブで自身3度目の最多セーブ投手に輝き、あらためてその実力を証明した。
今季も記録達成時点で他を大きく引き離す38セーブを稼ぐ。ただし、記録や個人タイトルは副産物に過ぎない。巨人への移籍は、リーグの頂点に立つ喜びを味わうため。「ファンが望んでいる優勝が、一番の目標」と力を込める。9月12日、本拠地・東京ドームで首位を行く阪神を相手に251セーブ目を挙げて0.5ゲーム差に肉薄。9月13日終了時点で残りは14試合。逆転優勝、そして日本一を目指し、巨人の守護神がこれからも9回のマウンドに君臨する。
【文責:週刊ベースボール】