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【コラム】初の伝統の一戦で猛打発揮の阪神・立石正広、強打の新人スラッガーが夢見る甲子園でのアーチ

 昨秋のドラフトで3球団が競合した“大学No.1スラッガー”の評価に違わぬ打棒を発揮した。5月24日の巨人戦(東京ドーム)に一番・三塁でスタメン出場した阪神・立石正広だ。5回に1点を先制し、なお二死一塁の場面で打席に立つと竹丸和幸の外角高めに浮いた直球を見逃さなかった。大学時代から左打者が引っ張ったような打球を右方向に飛ばすことが魅力だったが、乾いた打撃音を残した打球は右翼席へ飛び込んだ。一軍デビューから5試合目で飛び出したプロ初本塁打。7回には佐藤輝明の右前打で二塁から果敢に本塁へ突入し、ヘッドスライディングで5点目をもぎ取る激走。初の三塁守備も無難にこなし、走攻守で躍動して6対3で巨人を下す原動力となった。

「ここまで手で合わせるようなバッティングになっていたので、しっかりバットを振り切ることを意識しました。自分らしいスイングができたと思います。しっかり噛んだ打球が行きました。プロ野球選手になって初めてのホームランなので、これからも忘れないと思います。この1本で終わらず、どんどん増えていけばいいなと思います。(ホームランボールは)両親に会ったときに渡したいです」

 1月の新人合同自主トレから度重なるケガのため出遅れ、一軍昇格をつかんだのは5月19日だった。同日の中日戦(倉敷)に六番・左翼でスタメン出場すると第1打席でプロ初安打を放ち、塁上で感情がわき上がった。「ベンチの人たちもすごく祝福してくれたので、ガッツポーズをしたくなりました」。翌日の甲子園での同カードでも安打を放つと22日の巨人戦からは一番に抜てきされた。初回の第1打席でいきなり二塁打を放つと森下翔太の中前打で先制のホームを踏んだ。3回の第2打席は先頭で中前打。一死二塁から再び森下の二塁打で4点目のホームを踏むと、5対0で迎えた4回の第3打席でも魅せた。一死二、三塁から内角高め直球を左前にはじき返して6点目を生み出す適時打を記録した。

 7対4の勝利に貢献し、「チャンスで凡退が続いていたので。早くチャンスで打点を挙げたいと思っていたので良かったです」と安どの表情を浮かべた立石。さらに初めての伝統の一戦の雰囲気に対して「こういういろいろなお客さんがいる前でプレーすることを夢見てきたので、まず第一歩としてプレーできてうれしかったです」と笑顔を見せた。

 23日の試合でも2安打2打点をマーク。巨人3連戦ではすべて一番として打線に勢いを与えて、14打数7安打5打点、打率.500と大暴れ。2リーグ制後では球団新人初のデビューから5戦連続安打も達成し、立石がラインアップに名を連ねてからチームは5連勝。ヤクルトを逆転して首位に立った。

 球団初のリーグ連覇を狙う猛虎に加わった頼もしい男。ドラフトで阪神が交渉権を獲得して以降、チームの本塁打集の映像を見ながら甲子園でアーチを描く自分自身を想像していたと話す。高川学園高では3年夏の甲子園でバックスクリーンへ本塁打を放ったが、「夢中になっていたので、甲子園を味わう冷静さはなかったです」と当時の景色は覚えていないという。だが、この勢いが続ければ甲子園で初アーチが飛び出すのも時間の問題だ。そのとき、何を感じるのか――。輝きを増していく強打の新人スラッガーに、ファンも夢を託していく。

【文責:週刊ベースボール】