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【コラム】セ新人初の開幕戦から2戦連続本塁打、ファンの心を打つDeNA・度会隆輝の輝き

「りゅ~き!! りゅ~き!!」

 大声援が横浜スタジアムを包んだ。開幕戦でド派手なデビューを飾ったのはDeNAのドラフト1位ルーキーだ。3月29日の広島戦、一番・右翼でスタメン出場を果たした度会隆輝は3点を先制された直後の3回裏にバットで魅せた。一死一、二塁で打席に入ると九里亜蓮の初球スライダーをジャストミート。打球は右中間スタンドに飛び込む会心の同点3ランとなった。度会の一撃もあって4対3でチームは5年ぶりに開幕戦勝利をつかむと、ヒーローインタビューに選ばれお立ち台へ。何度も天に向け拳を突き上げながら「最高で~す!」と絶叫し、3万人を超える大観衆の心をつかんだ。

 球団の新人による開幕戦本塁打は1960年の黒木基康が放って以来64年ぶり。だが、これで終わらない。翌30日の同カードでも一番・右翼でスタメン出場した度会は4回無死一塁で大道温貴の147キロ直球を右翼席へたたき込んだ。新人の開幕戦から2試合連続本塁打は55年の枝村勉(大映)、81年の石毛宏典(西武)に次いで3人目。セ・リーグ新人では初の快挙だった。しかも、この試合では初回の第1打席で頭部に死球を受けていた。それでも恐怖心を抱くことなく本塁打を含む4安打をマーク。2試合連続のヒーローインタビューで、またしても本拠地を熱狂の渦に巻き込んだ。

 「夢はあきらめなければ必ず叶う」という言葉を胸に刻んで進んできた。父・博文氏は元ヤクルトの選手。父と同じ職業を夢見て横浜高3年時の2020年ドラフトでプロ志望届を提出した。しかし、吉報は届かなかった。卒業後はENEOSに入社。「走攻守で最強の選手になる」と誓い、3年後のプロ入りを目指した。社会人の名門でもまれ、“社会人No.1野手”に成長すると、昨年のドラフトでは中日、ロッテ、DeNAが1位指名。抽選で三浦大輔監督が当たりクジを引き、なじみのある横浜にある球団でプロ野球人生をスタートさせることになった。

 夢は大きい。理想の打者像を聞くと「ミート力があって、長打力もある。打率も残せて、ホームランを打てる、そんなバッターになりたいと思います。ソフトバンクの柳田(悠岐)選手のような打者です」と言う。ただ、シーズンで数字の目標は立てない。「明確な数値というよりもチームの勝利、チームの優勝に貢献できるような、チームの主軸になりたい。チームを勝たせられるような選手になりたいということが一番です」。

 天性の明るいキャラクターも魅力の度会。自分が求められている役割も理解している。

「僕から言うのはおこがましいかもしれませんが、まずは明るく元気にチームの雰囲気を盛り上げられたらいいな、と。明るくというのは意識してやっているのではなくて、本当に体に染みついているものだと思います。そこは変わらずに、これからもやりたいですね」

 何よりも野球を楽しむ姿勢がファンの心を打つ。

「今までの野球人生もすごく楽しかったですけど、またプロ野球という違う舞台で、新しい野球がたくさん見えてきました。いろいろな見え方や、楽しい部分があると感じています」

 背番号4がハマのヒーローに駆け上がるシーズンが始まった。

【文責:週刊ベースボール】