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【コラム】覚醒した猛虎の若きエース候補

 野手顔負けのバッティングだった。阪神の片岡篤史打撃コーチは「野手でもなかなか見られないホームランだ」と脱帽した。8月18日の中日戦(ナゴヤドーム)。4点リードの6回表、二死二塁で打席に立ったのは投手、秋山拓巳だった。初球、伊藤準規が投じた144キロの内角直球に鋭く反応。力強いスイングではじき返すと、バットをポーンと投げ飛ばす。舞い上がった打球は右翼席上段へ。高校通算48本塁打を誇り、“伊予ゴジラ”の異名を取った男が見せた特大のプロ初本塁打に球場からはどよめきが起こった。本職であるピッチングも7回2失点と好投し、プロ初の2ケタ勝利に到達。2017年、それまで能力を開花できなかった男がまばゆい輝きを放ち始めている。

 西条高から2010年、ドラフト4位で阪神に入団した秋山。1年目にいきなり4勝をマークして注目されたが、その後の6年間でわずか2勝にとどまっていた。だれもが潜在能力が高いことを評価しながらも芽が出ない。一、二軍を行ったり来たりの生活が続いたが、自分を信じてひたむきに野球と向き合ってきた。転機は昨年9月16日のDeNA戦(横浜)。4年ぶりの勝利をマークしたが、このとき投球フォームに手ごたえをつかんだという。

 「長いイニングを投げていく中で、胸を張る感覚を自然とつかんだんです。胸を柔らかく使うことで、体の開きが抑えられた。それにより右腕が上がり、縦振りとなり、しっかり指先でボールをたたけるようになりました」

 オフにその感覚を体に染み込ませ、さらに肩の可動域を広げるトレーニングにも没頭。その結果、今春キャンプで実戦10イニングを無失点、オープン戦開幕のマウンドも任された。そこから結果を残し、シーズンでも先発ローテーションに入り、勝利を積み重ねてきた。

 ストレートの質も良くなった。加えてコントロールも抜群。8月20日現在、117回1/3を投げ、与四球はわずか11。セイバーメトリクスにおいて投手の制球力を示す数値で、3.50を超えれば称賛されるK/BB(奪三振÷与四球)は驚異の9.18をマーク。これは12球団一の数字だ。

 現在、阪神は首位・広島と7.5ゲーム差の2位だが、エースのメッセンジャーがケガで離脱。それだけに秋山にかかる期待は大きい。

 「上に行くために、これからもどんどん勝ち続けたい」

 そのピッチングで、そして時にはその打撃で。覚醒した背番号46が猛虎を勢いづかせる。

【文責:週刊ベースボール】