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【コラム】史上79人目のノーヒットノーラン!チームのために投げ続ける“タフな男”巨人・山口俊

 山口俊が少しうつむき加減にお立ち台に上がる。2016年オフのFA会見と昨季の巨人移籍後初勝利で涙を見せていた背番号42。東京ドームに詰めかけた4万4542人のファンは、もはや定番となりつつある“泣きの山口”に期待を寄せていたのだが、アナウンサーにマイクを向けられた山口俊は、わざとらしく間を作り、「泣かないよ~」と笑顔を見せて爆笑を誘った。

 多少の悪ふざけも許されるくらい、この日のピッチングは完ぺきだった。チームは球宴を挟んで7連勝も、長いロードに疲弊し、6連敗で再びの借金生活へ。7月27日の中日戦は19日ぶりの東京ドームでの試合で、連敗ストップに期待のかかる一戦だった。山口俊にしても、前回登板の広島戦(7月20日、マツダスタジアム)で2回7失点KOされており、信頼を取り戻すのに大事なマウンド。斎藤雅樹投手総合コーチいわく「ブルペンはひどかった」が、得てしてそういうもの。悪いことを自覚し、慎重にボールを低めに集めた結果、6回終了まで1人の走者も許さないピッチングを披露する。

 ところが、「意識したのは6回を終えたあたり」(山口俊)と、偉業が頭をよぎると、7回、先頭の大島洋平に痛恨の四球。パーフェクトゲームは途絶えたが、味方の好守にも助けられ、一死三塁のピンチを切り抜けると、9回はその大島を一ゴロに打ち取り、103球で史上79人目(通算90度目)、巨人では12年の杉内俊哉以来のノーヒットノーランを達成し、連敗もストップさせた。

 「プロに入ってノーヒットノーラン、完全試合は夢でした。その1つを達成できてうれしい」という山口俊に対しては絶賛の嵐だ。「終始自分のペースでというか、最初から最後まで集中して投げたと思う。平然と1試合を投げ切れるタフさは前から言っているとおり」と高橋由伸監督が言えば、敵将・森繁和監督は「相手を褒めるしかないか?」という質問に「褒めてどうすんだよ」と冷静な突っ込みも、言葉少なだった。

 一昨年オフにFA加入も、昨季は右肩痛で出遅れ、初登板の6月14日のソフトバンク戦(東京ドーム)では継投によるノーヒットノーランで1勝を挙げたが、グラウンド外のトラブルで出場停止となり、結果、この1勝止まり。今季に向けては「新人のつもりで、結果を残すしかない」と決意を表明していたが、見事な快投で価値ある1勝を手にした。

 日ごろから「長いイニングを投げたいと思っています。ちょっとでも救援陣の負担を減らせれば」と“フォア・ザ・チーム”を心掛けている山口俊。その言葉どおり、6完投はリーグトップを誇っている。チームは現在、借金5の3位(7月30日現在)。ヤクルト、DeNA、阪神らと激しいAクラス入り争いを続けている。“混戦”から抜け出すために山口俊の活躍は不可欠だ。少しでも上へ、チーム順位を押し上げるべく、タフな男は右腕を振り続ける。

【文責:週刊ベースボール】