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【パCSファーストS展望】短期決戦の経験が豊富なソフトバンク、日本ハムは「栗山マジック」が炸裂するか!?

 球団史上初の下克上日本一へ――。まずはクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージで日本ハムを地元・福岡で迎え撃つのがソフトバンクだ。

 スローガン『もう1頂!』を掲げ、2年連続のリーグ優勝、日本一を目指した今季は、先発の和田毅、千賀滉大、東浜巨、中継ぎでは岩嵜翔、サファテと、チームの核がそろって故障離脱するなど、スタートからつまずいた。それでも、先発転向した石川柊太がテンポの良い投球でチームを勝ちに導き、中継ぎでは5年目の加治屋蓮の台頭、抑えを任されることになった森唯斗による穴埋めなど総力戦で窮地を乗り切ると、夏場以降は復帰した千賀、東浜とともに、ミランダ、大竹耕太郎と新戦力が躍動。打線が勢いを取り戻したこともあり、西武を追い詰める怒涛の快進撃を見せた。

 中でも、安定した投球を披露した先発左腕・ミランダはシーズン8試合の登板で6勝1敗、防御率1.89。日本ハム戦は1試合のみの登板だが、7回途中1安打無失点に抑えている。CSファーストステージでも第1戦の先発を任される予定で、持ち味の力強いピッチングでチームに勢いをもたらし、先勝をつかみたい。

 打撃陣はシーズン途中から内川聖一を欠いたものの、柳田悠岐が36本、松田宣浩32本、デスパイネ29本、上林誠知22本とアーチを量産し、チーム通算本塁打は200本超え(202本)。12球団トップの破壊力をCSでも見せつける。特に、松田宣が打てばチームも球場も盛り上がるだけに、元気印のバットに期待が高まる。

 また何より短期決戦の経験が豊富であることは強みとなるだろう。CSが導入された2007年以降、今季を含めて出場は10度目。工藤監督就任以降は4年連続の舞台となる。過去3年の勝率は.667(10勝5敗。優勝チームのアドバンテージ1勝は除く)で、本拠地・ヤフオクドームに限れば.800(8勝2敗)とさらに勝率は上がる。昨季見せた城所龍磨のスタメン抜てきや「一番・柳田」などのように、短期決戦ならではともいえる采配にも注目だ。

 工藤監督は10月6日の本拠地最終戦後、ファンの前で「CSに勝って、勝って、勝ちまくって、日本一になることがわれわれの使命だと思っています」と高らかに宣言した。そのためにもファーストステージで敗退するわけにはいかない。

 対する日本ハムだがソフトバンクはレギュラーシーズンでも勝ち越している相手だけに、チームに苦手意識はない。第1戦の先発が予想される上沢直之もソフトバンク戦で6試合に投げて4勝2敗(1完封)、防御率2.20と相性はいい。主軸の柳田悠岐に対しても被打率は.111、デスパイネ、上林誠知も2割台前半に封じ込んでいる。

 第2戦の先発が予想されるマルティネスも成績こそ4試合に投げて1勝だが、防御率は1.86と上沢の数字を上回る。それぞれ完投能力もあるだけにしっかりと試合を作れれば、アウェーの日本ハムにも十分勝機はある。仮に第3戦までもつれこんだ場合は、有原航平、加藤貴之らが先発候補になりそう。ともに調子は上向きだけに、ブルペンの宮西尚生、浦野博司、石川直也らで形成する「勝利の方程式」に何とかいい形でつなぎたい。

 打線のキーマンは中田翔。ソフトバンク戦ではチームトップタイの5本塁打を放っており、CSでもこの男のバットに期待が懸かる。さらに後半戦に台頭した渡邉諒、助っ人のアルシア、ゴールデンルーキーの清宮幸太郎の3人も4本塁打をマークし、ホームランテラスがあるヤフオクドームでの空中戦なら十分に対抗できる力はある。さらにリードオフマンの西川遥輝の状態もCSに向けて上がってきており、長打力と足をからめた野球で試合の主導権を握りたい。

 また栗山英樹監督はCSファーストステージ開幕直前の10月10日のロッテ戦(札幌ドーム)で三番・中田翔、四番・近藤健介のレギュラーシーズンでは一度もなかった新たな打線の組み合わせもテスト。これまでも数々の「栗山マジック」とも呼ばれる驚きの采配で勝利を手繰り寄せてきただけに、最大3試合の超短期決戦でも大胆な選手起用が見られそうだ。

 その一方で打線の軸の1人であるレアードが、左ワキ腹の肉離れでファーストステージに間に合わないのは痛すぎる。さらにシーズン最終盤でソフトバンクに7連敗で対戦を終えたことも気掛かりではある。それでも指揮官は「打てる手を打ちまくる」と選手の調子も独自の観察眼で見極めながら、シーズン以上にさまざまな策略を巡らす。3位からの下克上へ。得意の短期決戦で鷹打倒に挑む。

【文責=週刊ベースボール】