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【セCSファーストS展望】ヤクルトは青木の状態がカギ、「監督のために」を合言葉に結束を強める巨人

 昨季、シーズン96敗という惨敗に終わったヤクルトが、見事によみがえった。首位・広島に独走を許したものの、最終的には7ゲーム差。貯金9の2位でレギュラーシーズンを終えている。その要因の一つに故障離脱者が少なかったことが挙げられるが、一番大きかったのが青木宣親の古巣復帰だろう。

 開幕当初は四番に座り、シーズン途中から二番に定着。打率.327はリーグ4位でチームトップ、出塁率.409は同.432の山田哲人に次ぐ2位。坂口智隆、青木、山田哲と並ぶ上位打線の出塁率がいずれも高く、四番・バレンティンの131打点につながった。「二番・青木」が打線のキーマンであることは紛れのない事実だったが、その左打者は左太もも裏を痛めて10月3日に登録を抹消された。最短で戻ってこられればクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージの初戦に間に合うが、万全の状態に戻せるか。ここが突破への大きなカギとなりそうだ。

 この緊急事態に、チームはただ手をこまねいているわけではない。小川淳司監督は残り試合で、二番に山田哲、三番にバレンティンと打順を繰り上げ、シーズン打率.318と好調だった雄平を四番に置く新オーダーをテスト。バレンティンは10月に4本塁打をマークしてシーズン38本塁打と好調を維持している。打線の破壊力を発揮できれば、巨人攻略に近づく。

 また、投手陣では小川泰弘、原樹理の両右腕を巨人にぶつけることになりそうだ。小川は対巨人8連勝中と、Gキラーぶりを存分に発揮している。原も8月16日の巨人戦(神宮)で自身初の無四球完封勝利を挙げており、良いイメージでマウンドに上がることができそう。この2人で一気に2連勝といきたいところだ。また、3戦目にもつれた場合でも、今季最終登板で10勝目をマークしたブキャナンが控える。9月末に長男が生まれたばかりで、モチベーションはさらに上昇しているのが好材料だ。

 先発が早くに崩れた場合にもカラシティー、星知弥といった第2先発が待機する。また、接戦に持ち込めば、シーズン74試合登板で42ホールドポイントをマークし、最優秀中継ぎのタイトルを確定させた近藤一樹、惜しくもタイトルには届かなかったものの、71試合に登板して35セーブを挙げた石山泰稚が登場する。近年見ることのできなかった安定した救援陣がいることから、これらの要素ががっちりとかみ合えば、広島が待つファイナルステージ進出が見えてくるはずだ。

 一方、2年ぶりのCS出場を果たした巨人だが、シーズン終盤はネガティブな話題が満載だった。球団ワーストタイの4年連続のV逸、今世紀初の本拠地・東京ドームでの負け越し、シーズン負け越しも12年ぶりの不名誉な結果だ。CS出場権を得たのはチームの143試合目で、ギリギリの滑り込み。そして10月3日にはこれらの不振の責任を取る形で、今季限りでの高橋由伸監督の退任が明らかになっている。

 とはいえ、高橋監督退任はこの土壇場でチームを1つにまとめ上げるための劇薬としての効果を果たすかもしれない。実際、監督退任が明らかになった10月3日以降、チームは「監督のために」を合言葉に結束を強め、残されていた2戦を2勝してDeNAとの3位争いを制し、CS進出チケットを手にしている。10月13日からのCSファーストステージも同様のモチベーションで臨むことが予想されるが、実際に10月9日の阪神との最終戦(甲子園)で2本塁打3打点の活躍を見せた岡本和真は、高橋監督への感謝の思いを口にしつつ、「日本一」を宣言。この勢いのまま、駆け抜けることは大いにあり得ることだ。

 打線のキーマンは、6月2日のオリックス戦(京セラドーム大阪)から四番に座るその岡本。史上最年少でのシーズン3割、30本塁打、100打点を達成した22歳の若きポイントゲッターの出来がチームの勝敗を左右する。なお、神宮球場では今季打率.297とまずまず。一番を打つ坂本勇人はリーグ2位の打率.345、三番を打つマギーも状態を上げており、得点力には期待ができそう。

 一方、投手陣では昨季の沢村賞投手で、今季投手主要3冠(防御率、勝利、奪三振:勝利数は広島の大瀬良大地と同数)を制した菅野智之が盤石。最終戦では1イニングの調整登板も、先発としては3連続完封勝利(シーズン通算10完投8完封)で締めている。この菅野と、支配下昇格以降、後半戦だけで5勝のメルセデス、若手左腕の今村信貴が予想される3戦の先発陣。リリーフに不安を抱えるも、場合によっては内海哲也らが中継ぎに回るなど、総動員でファイナルステージ進出を狙う。

 【文責:週刊ベースボール】