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【コラム】ダルビッシュから受けた刺激 鷹のエースに漂うキャリアハイの予感

 「やっと開幕したなと思います」と鷹のエースはお立ち台で柔らかな笑みを浮かべた。

 昨季日本一のソフトバンクで開幕投手を務めた千賀滉大。開幕からの3試合で、すべてクオリティースタート(6回以上、自責点3以下)を記録しながら勝利の女神が微笑まなかった。迎えた4月19日の西武戦(メットライフ)。チームが3連敗と窮地に陥っている中で先発のマウンドに立ち、心が奮い立った。

 初回からこの日最速となる159キロをマークするなど力で圧倒。後半からはフォークもうまく交え、西武打線に的を絞らせない。6回一死までノーヒットノーランの快投。8回に入っても155キロの直球で外崎修汰から三振を奪うなど、鬼気迫るピッチングで強力打線を抑え込んだ。8回を2安打、11奪三振、無失点。ほぼ完ぺきな内容で今季初勝利を挙げた。

 今季は開幕の西武戦(3月29日、ヤフオクドーム)で自己最速の161キロを連発するなど、レベルが一段階上がった印象がある。精神面での成長も大きい。昨季も開幕投手を任されたが、そのときは「やりたくない」という後ろ向きな面もあったという。しかし、昨シーズン終了後から「チームの中心となってやっていく」という自覚が芽生えた。

 「チームは昨年、和田(毅)さんがケガでなかなか帰ってこられなかったり、攝津(正)さんが引退したりということがありました。また、僕個人としてはオフにダルビッシュ(有、カブス)さんと一緒に過ごして刺激を受けた。あらためて、こういう選手になりたいと思うようになりました」

 ダルビッシュからは多くの印象的なアドバイスを受けたという。

 「例えば僕が40歳になったときに『あのときああすればよかった、こうすればよかった』というのは絶対に出てくる。人生はそういうものだから、と。ダルビッシュさんはそういう後悔をなるべくしたくないから、『未来の視点から過去の考え方に戻って何をすべきか』を考えて過ごしているそうです。だから、あるとき間違った選択をしていても、それは自分がそうしたいと思ったときの結果だから後悔はしない、と。すごく心に沁みましたし、未来での後悔を減らせるように、やるべきことはもっとたくさんあるなと思いました」

 メジャーで実績を残すダルビッシュとトレーニングを行い、その考えにも触れ、練習にさらに気持ちが入るようになったという。

 「“千賀晃大”という人間としても、『よりいい方向に進んでいける可能性を秘めている』と工藤(公康)監督もおっしゃってくれています。『誰かを見て行動することよりも、誰かに見られることのほうが多くなる』とも言われていますし、やはりそれなりの姿勢も見せなきゃいけない」

 心身ともに充実。開幕4試合目でようやく初勝利と少し出遅れたが、キャリアハイを残す下地は整っている。今後も千賀のピッチングから目が離せない。

【文責:週刊ベースボール】