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【コラム】粘り強い投球でリリーフ陣を救う完投勝利、静かに闘志を燃やす広島のエース・森下暢仁

 疲労の色が濃くなっていたリリーフ陣を救う完投勝利だった。9月2日の中日戦(マツダスタジアム)、広島先発の森下暢仁は序盤から再三走者を背負いながら粘り強いピッチング。3対1で迎えた5回表には二死二、三塁のピンチを招き、細川成也が打席に入った。4回にソロアーチを浴びた三番に対し、カウント1-1から思い切り腕を振る。チェンジアップが高めに浮いたが、タイミングを外された細川の打球は高々と舞い上がった遊飛に。7回も二死一、二塁と攻め立てられたが、カリステを中飛に仕留める。8回を投げ終わった時点で球数は104。しかし、森下は9回のマウンドへ。二死から鵜飼航丞に中前打を浴びるも最後の力を振り絞り、代打・高橋周平を二ゴロに打ち取って完投勝利を飾った。

「本当に助かりました。走者を出しても粘り強く、彼らしいナイスピッチングでした」と新井貴浩監督は最敬礼。森下は「試合数も少なくなってきているし、チームとしても勝たないといけない。チームがやるべきことをやって、いい結果がついてきたらいいと思います」と前を向いた。首位・阪神とは6.5ゲーム差の2位と逆転優勝に向けて負けられない日々が続くが、エースの投球から目が離せない。

 4年目の今季、昨年10月に受けた右肘手術の影響で開幕二軍スタート。リハビリ中は「投げられる準備をしっかりして、一軍に上がったときにしっかり結果を残すんだという思いでやっていました」と言う。初登板は5月4日。「特別な思いはなかったですけど、ようやく来たな、とは思いました。ここからしっかりと、次は離脱しないようにしないといけない、と。チーム事情もあっての昇格でしたが、自分の中ではいつでも行ける準備はできていましたから」。

 強い意気込みは投球内容につながる。9月4日現在、16試合に先発して8勝3敗。規定投球回には12イニング足りないが、防御率は2.27をマーク。さらにクオリティースタート(先発が6回以上を投げて、自責点3以内に抑えるときに記録)は14を数え、QS率は87.5パーセントと高い数値を誇る。

「ゲームをしっかりつくるというところと、イニングもしっかり投げたいなと思って、シーズンに入ってきました。規定投球回を目指すというところでは、やっぱり長いイニングを投げないといけない。そういう意味では、自分自身しっかりとゲームをつくりながら、やれているのかなとは思います」

 新井監督が新たに指揮官となった今季、5位から2位に躍進しているが、森下自身はチームの変化を次のように感じているという。

「新井監督が前向きな姿勢を崩さず、上を目指そうというところにベテランの先輩たちが、より一層そういう思いを持ってやっているんですよね。だから、若い選手たちも頑張ろうってなる。みんなが同じ気持ちで戦っているからこそ、なのかなと思います」

 シーズンは残り20試合となり最終盤を迎えているが、一戦必勝の思いは変わらない。

「自分たちがやるべきことが分かっていれば、結果はついてくると思います。1試合、1試合、大事に戦っていけたらいいのかなと。先を見るより、1試合、1試合、勝っていったほうが、次につながっていくんじゃないかと思います」

 足元を見つめながら、マウンドに立つ森下。背番号18が見せる静かな闘志が頼もしい。

【文責:週刊ベースボール】