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【コラム】11連勝と快進撃のロッテを止める完封勝利、“奪三振王”の野望を秘める阪神・才木浩人

 11連勝と快進撃を続けていたロッテを止めたのは阪神の長身右腕だった。6月2日、ZOZOマリンで先発マウンドに上がった才木浩人は身長189センチから投げ下ろす平均球速150キロに迫る直球、キレのあるフォークを軸にロッテ打線に得点を許さない。8回までゼロ行進。9回、小川龍成、髙部瑛斗に連打を浴びて無死一、二塁のピンチをつくり四番・ソトを迎えたが闘志は燃えたぎった。「最後は気持ち」。フルカウントから内角高めに渾身の直球を投げ込み、遊ゴロ併殺に仕留める。二死三塁となり、最後はポランコも外角高め直球で詰まらせ二ゴロに打ち取りゲームセット。初回に味方が挙げた1点を守り切り、1対0の完封勝利。チームの連敗も5で止める快投でセ・リーグトップタイに立つ6勝目を挙げた。

「連敗は自分からスタートしていますし、『絶対に俺で止めたる』と思って投げたので良かったです。(9回は)1点差だったので何があってもおかしくない、と。先頭にヒットを打たれて『オーマイガー!』と思いましたけど、なんとか抑えて良かったです。最終回でピンチになったとき、(阪神ファンから)すごい拍手をもらえたので『ウェーイ!』と思いながら(笑)。梅野(隆太郎、捕手)さんが『思い切ってこい!』とサインを出してくれたので、思い切っていきました」

 昨年も6月4日のロッテ戦(甲子園)で完封勝利を手にしていた。しかも、相手先発は佐々木朗希だ。わずか3安打に抑え無失点。佐々木が10奪三振だったのに対して、才木はそれを上回る12三振を奪った。しかも佐々木と投げ合って完封した投手は初めてだった。今年は昨年以上に価値ある白星が多い。初登板は3月31日の巨人戦。敵地・東京ドームの開幕カードで連敗を喫し、第3戦目に先発すると6回4安打無失点の好投でチームの今季初勝利を飾った。5月5日の巨人戦(東京ドーム)も負ければ同一カード3連敗の危機で5回2失点と粘り、チームに白星をつけた。ロッテ戦の完封勝利は今季3度目の連敗ストップだった。

 2017年にドラフト3位で須磨翔風高から阪神に入団し、18年に6勝をマーク。だが、その後は右肘痛に苦しんだ。20年は一軍登板なしに終わり、11月にトミー・ジョン手術を受け、育成選手として契約。「リハビリの期間は時間がたくさんありましたので、体のつくりのことをすごく勉強しました。それに合わせて投球フォーム、メカニックのことなども勉強するなど、本当にいろいろなことを学びました」。投げられなくても時間を無駄にすることなく、再起に向けて前に進んでいった。22年5月に支配下昇格すると、同年は4勝を挙げて復活。昨年は19試合登板で8勝5敗1ホールド、防御率1.82の好成績でチームの38年ぶり日本一に貢献した。

 今年はさらなる飛躍を期していた。「まずは1年間、一軍でしっかり投げたいです。そのためには規定投球回数にも到達しないといけない。結果としてタイトルがあると思っているので、もちろん獲れるタイトルは全部獲りたいです」と語っていたが、有言実行の活躍ぶりだ。2年目には「どちらかというと力で押して三振を奪うタイプの投手だと思っていますので。将来は奪三振王なども狙える投手になりたいなと思っています」と語っていたが、6月3日現在、53奪三振はリーグ2位。胸に抱いていた“野望”を実現させる可能性も十分にある。

 昨年は交流戦で3試合に先発し、防御率0.00。得意のパ・リーグ相手にますます勢いづいて上昇気流に乗っていく。

【文責:週刊ベースボール】