【コラム】すかさず同点打を放ちチームの勝利に貢献、長打でチーム勝たせるロッテの若き四番・山本大斗
取られたら取り返す。ロッテの四番が仕事を果たした。7月13日の西武戦(ZOZOマリン)。初回、ロッテ先発の小島和哉が二死から長谷川信哉に左翼席へ一発を浴び、1点の先制を許す。しかし、その裏、だ。二死から三番・安田尚憲が上田大河の外角直球を逆らわずにはじき返して左翼線へ二塁打。同点機に打席に立ったのは四番・山本大斗だ。初球の外角へのカットボールを見逃し、1ストライクからの2球目、再び外角へ投じられた直球に素直にバットを出す。鋭く飛んだ打球は右翼手の頭上を越える適時二塁打。すかさず同点に追いつくと、続く五番・西川史礁はバットを折りながら左前適時打を放つ。22歳の同学年コンビの攻撃で2対1と逆転したロッテは、その後も試合を優位に進めて5対1で勝利を飾った。
「最近は(西川)史礁と僕がクリーンアップで並ぶことが多く、お互いに助け合い、どちらかが打てなかったらどちらかが打とうという関係です。そういった意味では刺激し合っていい関係だなと思います。ライバルではなく、良きチームメート。もちろん負けたくはないですけど、同時に出場できたら一番いいですね」
昨年、イースタン・リーグで19本塁打、66打点をマークして2冠王に輝いた山本。高卒5年目の今年は4月16日の日本ハム戦(ZOZOマリン)で一軍初本塁打を記録すると、6月4日の巨人との交流戦(ZOZOマリン)で初の四番に。2回の第1打席で井上温大から右翼へ先制ソロを放って勝利に貢献した。その後も四番としてスタメン出場を続け、7月14日現在、同打順では31試合に出場し打率.230、7本塁打、15打点を挙げている。
「(四番は)いいところで回ってきて、打つイメージです。走者がいたらきちんとかえすような。チームの勝敗を決めることの多い打順だとは思いますが、そこは意識せず、いつもどおりに自分のバッティングをするように心掛けています。ただ、いろいろなタイプのバッターがいる中で、僕は長打力が売りなので。本塁打が出ないと何の魅力もないと思うので、そこは打っていきたいですね。本塁打だけではなく、外野の深いところを破る二塁打、三塁打とか。長打が欲しいです」
現在、リーグ4位の10本塁打。ロッテは1986年に落合博満が本塁打王を獲得して以来、日本人のホームランキングが誕生していない。チーム待望の和製大砲として山本にかかる期待は大きい。
「いつかタイトルを獲りたいですね。ホームランもそうですし、狙えるタイトルは全部狙いたいです。かと言って、普段から自分の個人成績の数字は気にしていません。交流戦でも最多本塁打まであと1本だったと聞きましたけど、特に意識していませんでした。思い切り自分のスイングをして、自分のプレーをした結果が良い数字になればいいという感覚です」
ファンには「ハッスルプレーを見てほしい」という。大観衆の声援を浴びて打席に入ると、非常に気合が入る。これからも自慢の長打力でチームを勝たせる存在として、ファンが喜ぶ一打をかっ飛ばしていく。
【文責:週刊ベースボール】