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【コラム】“1点”を守るピッチングでリーグ10勝一番乗り、「現状維持は退化」DeNA・東克樹の哲学

 粘りのピッチングで8回まで投げ抜いた。7月21日の中日戦(バンテリンドーム)、DeNA先発の東克樹は初回から3回まで毎回走者を許すもゼロに抑える。相手先発のドラフト1位左腕・金丸夢斗も好投を続け、5回までゼロ行進。6回に味方打線が奮起し、フォードの右前適時打でDeNAに待望の先制点が入ると“1点”を守るために東の集中力が上がる。

 7回、先頭の細川成也に左翼フェンス直撃の二塁打を浴びるもボスラーをチェンジアップで空振り三振、山本泰寛をスライダーで見逃し三振に仕留め、最後は佐藤龍世を二ゴロに斬って取り得点を許さず。8回も一死一、二塁のピンチを背負ったが田中幹也を一直、上林誠知はカウント1-2からツーシームで二ゴロに打ち取り、1対0とリードを保ったまま伊勢大夢に9回のマウンドを託した。伊勢は先頭に四球を与えたが後続を断ち切り、DeNAが勝利。8回5安打無失点の好投で東はリーグ最速となる10勝目を手にした。

 今季初となる中5日での先発を志願。エースの自覚あふれる男が球団では1996年から98年の野村弘樹以来、27年ぶりの3年連続2ケタ勝利を達成した。28回連続無失点と安定感抜群のピッチングも続ける。「何としてもゼロで抑える気持ちで投げました。素直にうれしい。勝ちは僕だけの力ではない。野手の皆さんに感謝したいです」と謙虚に語る東を三浦大輔監督は「立ち上がりから東らしくボールを散らして、うまく攻めていた」と絶賛した。

 プロ8年目、今年11月で30歳になるが並々ならぬ決意を持って今季を迎えていた。

「30歳を超えた人たちから、30歳で1回体にくるという話を聞いていました。そうならないために準備しないと。もっと上を目指したいです」

 昨年は日本一に輝いたが、歓喜から3日後には始動。オフは山本由伸(ドジャース)のフォームを参考に下半身から上半身へ力の伝え方を改良し、球速アップを目指した。結果的にリリースの位置が昨年より約15センチ高くなり、制球力の乱れを招いたが後悔はない。「現状維持は退化」と考える東にとって、レベルアップのために挑戦することは必然だ。結局、感覚とデータを照らし合わせながらフォームを修正。開幕戦は7回4安打無失点で勝利をつかみ取った。

 7月28日現在、首位・阪神に11.5ゲーム差の3位とチームは苦しい状況に置かれている。だが、優勝をあきらめるつもりはない。夏場に強い東。8月に一昨年は4戦3勝、昨年は4試合に先発して3勝0敗、防御率0.90で月間MVPを受賞している。

「水分補給や食事、睡眠。そういったことを徹底して行っています。寝るときに、消化に体力を奪われないように睡眠3時間前から食事を控え、コーヒーも禁止にしています。9月まではずっと暑い日が続くので、そこにどう体が順応して過ごせるかが大事になります」

 ハーラーダービートップに立ち、自身2年ぶり2度目の最多勝も視界に入る。酷暑が続く季節も勝利を呼ぶピッチングを続け、チームのために左腕を振り続ける覚悟だ。

【文責:週刊ベースボール】