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【セCSファイナルS展望】18年ぶりリーグ制覇の阪神、広島は新井貴浩監督の采配がカギに

 セ・リーグの「2023 JERA クライマックスシリーズ セ」ファイナルステージは18年ぶりのリーグ制覇を飾った阪神が、ファーストステージを突破してきた2位の広島を本拠地・甲子園で迎え撃つ。

 今年の阪神は投打にスキがない戦いぶりで、他球団を圧倒した。例年は夏場以降に失速して優勝争いから脱落するケースが多かったが、8月に18勝7敗と勢いが加速し、9月も負けない。同月14日の巨人戦(甲子園)で11連勝を飾り、球団史上最速のリーグ優勝を決めた。

 強さの源は盤石の投手陣だ。チーム防御率2.66はリーグ断トツトップ。先発の柱と期待された青柳晃洋、西勇輝が春先から状態が上がらない苦境で、2人の新星が台頭した。昨季まで白星なしだった大卒3年目右腕の村上頌樹が10勝6敗1ホールド、防御率1.75で最優秀防御率を獲得。ソフトバンクから現役ドラフトで移籍した左腕・大竹耕太郎は12勝2敗、防御率2.26をマークした。自身2度目の2ケタ勝利を飾った伊藤将司、才木浩人、西純矢も能力が高い。実績十分の青柳、西勇が先発枠を保証されていないハイレベルな競争がチーム力を高めている。

 救援陣は守護神・湯浅京己が度重なる故障で6月中旬から長期離脱となったが、セットアッパーから抑えに配置転換された岩崎優が3勝3敗35セーブ12ホールド、防御率1.77と抜群の安定感で、最多セーブのタイトルを獲得。岩崎につなぐセットアッパーは加治屋蓮、岩貞祐太、石井大智、島本浩也、及川雅貴、桐敷拓馬と多士済々の陣容で、相手に主導権を渡さない。

 打線は得点力不足が長年の課題だったが、今季はリーグトップの555得点をマーク。84本塁打はリーグ5位だが、つないで点を奪う野球が浸透していた。その象徴が四番の大山悠輔だろう。リーグ最多の99四球で最高出塁率(.403)のタイトルを獲得したことが裏付けるように、ボール球に手を出さない。8犠飛はリーグトップ。好機をおぜん立てするのが、近本光司、中野拓夢の一、二番コンビだ。近本は自身4度目の盗塁王(28盗塁)、中野は自身初の最多安打(164本)に輝いた。安打を打つだけでなく、粘って四球で出塁する。相手バッテリーは神経を使うだろう。遊撃の定位置を再奪取した木浪聖也も攻守で貢献度が高い。

 CSは佐藤輝明がキーマンになる。今季は打撃不振でスタメンを外れる機会があったが、8月以降は打率.330、12本塁打、45打点と好調をキープ。佐藤輝が打てば得点力が一気に上がる。短期決戦で打棒が爆発するか。

 4年連続Bクラスから2位に躍進した広島は、ファーストステージで3位のDeNAに本拠地・マツダスタジアムで2連勝を飾り、ファイナルステージに進出した。

 手に汗握る接戦で光ったのは、新井貴浩監督の采配だ。1戦目は1点を追いかける8回にデビッドソンが四球で出塁すると、代走で羽月隆太郎を起用。代打・矢野雅哉の犠打で羽月が二塁に進むと、三盗を仕掛けた。さらに菊池涼介がスクイズをきっちり決めて同点に。無安打で得点を奪う鮮やかなベンチワークで試合の流れを変えると、延長10回に九里亜蓮を今季初の救援で投入。無失点の好投でDeNA打線の反撃を断った。最後は同点の延長11回二死一、三塁で途中出場の秋山翔吾がサヨナラ打で勝負を決めた。

 2戦目も新井監督の采配がズバズバ的中する。1点リードの6回一死三塁のピンチで、先発の森下暢仁から大道温貴にスイッチ。無失点で切り抜けると、直後の攻撃で代打に末包昇大を送り、難敵の今永昇太から2点目の左越えソロで突き放した。その後に同点に追いつかれたが、8回無死満塁の好機で代打・田中広輔を起用。34歳のベテランは決勝打を放ち、指揮官の期待に見事に応えた。

 阪神とのシーズン対戦成績は9勝15敗1分。敵地・甲子園でも2勝9敗1分と大きく負け越している。相手にアドバンテージが1勝あることを踏まえると、厳しい戦いが予想される。何とか接戦に持ち込みたい中で、カギを握るのは救援陣だろう。チーム最多の24セーブを挙げた矢崎拓也がCSファーストステージ2戦目の試合前に発熱により、「特例2023」で登録抹消になったことは大きな痛手だが、力のある投手がそろっている。島内颯太郎は62試合登板で3勝3敗2セーブ39ホールド、防御率2.31で最優秀中継ぎ投手に。ターリー、大道、復調した栗林良吏につなげる試合展開になれば勝機を見出せる。新井監督が「チームを家族」と形容するように、結束力の強さが広島の大きな魅力だ。全員一丸野球で下克上を狙う。

【文責:週刊ベースボール】