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【コラム】DeNA復帰戦で逆転弾を放つド派手な活躍、横浜に歓喜を呼ぶ起爆剤となる筒香嘉智

 大型連休の最終日だった5月6日のヤクルト戦、3万3284人が詰めかけた横浜スタジアムに筒香嘉智がDeNA復帰後初めて登場した。六番・左翼でスタメン出場。「よーこーはーまのそーら高くー」。野球ファンになじみの深い応援歌が再び背番号25の背中に降り注いだ。当初はファームで調整。イースタン・リーグで6試合出場し、打率.176、0本塁打で修正に少し時間がかかると思われたが、日本球界を代表する強打者の看板に偽りはなかった。

 7回の第3打席で左中間へフェンス最上部直撃の二塁打を放ち、復帰後初安打をマーク。久々の一軍舞台で豪快なバッティングを見せると、さらなる衝撃は2点を追う8回二死一、二塁の第4打席だった。エスパーダの初球、真ん中寄りの直球を逃さずとらえると、右中間席へ劇的な逆転の1号3ランを運んだ。ド派手な活躍でいきなりお立ち台に立った筒香は「これだけのファンの皆さんの前でプレーできることを本当に幸せだなと思っていますし、ダイヤモンド一周しているときは特別な時間でした」と万感の思いを口にした。

 勢いはとどまることを知らない。10日の阪神戦(横浜)では6回無死三塁で青柳晃洋から中越え適時三塁打を放つなどマルチ安打。さらに、翌日の同カードでは8回に蝦名達夫が同点2ランを放ち、二死無走者で打席に立つと岩崎優のスライダーを完璧にとらえ、勝ち越し弾を右翼席へたたき込んだ。最大7点差をひっくり返す11対9の大逆転勝利に貢献し、三浦大輔監督も「ここというところで決められる力をゴウは持っている」と大絶賛した。

 しかし、ここまでの道のりは決して順風満帆ではなかった。2019年シーズン終了後、ポスティングシステムを利用してタンパベイ・レイズと契約し、メジャー挑戦の夢をかなえたが、腰痛や打撃不振で結果を残せず、2年目の21年は3球団を渡り歩いた。その後もマイナー契約や環境の厳しいアメリカ独立リーグでプレーするなどもがき続けたが、再びメジャー契約を勝ち取ることはできず。現地時間3月21日にオプトアウト(契約破棄条項)を行使してマイナー契約を結んでいたサンフランシスコ・ジャイアンツを退団した。

 DeNA復帰を決断したが、横浜スタジアムで開催された公開入団記者会見では「僕は常に野球がうまくなるほうというのが自分の頭の中にあり、それを選んで選択してきたつもりでいます。アメリカのサンフランシスコ・ジャイアンツを退団になり、どうなるか分からない状況が続いた中で、正直日本に復帰するというモチベーションがいまひとつ上がらなかったのが事実であります」と胸中を明かしていた。ただ、「毎日練習している時間の中で、いろいろ考えていく中で、やはりベイスターズで優勝したい、優勝するという思いが、僕の今、日本でプレーをするモチベーションとなりました」と古巣への愛が込み上げてきた。

 二軍調整中には若手にも気を配りながら気さくに声を掛け、準備や練習姿勢でも手本となった。一軍合流後も、8日のヤクルト戦(横浜)で失策を犯したドラフト1位・度会隆輝に対して試合後に時間を取ってアドバイスを送るなど、渡米前の19年まで主将を担った経験を生かし、精神面でもチームに大きく貢献している。1998年以来、12球団で最も優勝から遠ざかっているDeNA。「毎日が生きるか死ぬか、勝負の日々だった」というアメリカでの経験を力に変えた筒香が横浜に歓喜を呼ぶ起爆剤となる。

【文責:週刊ベースボール】