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【コラム】70年ぶりの球団タイ記録1試合6安打をマーク、悪夢を乗り越えタイトルを目指す西武・西川愛也

「自分が一番びっくりしています。素直にうれしいです。でも、タイですか……」と少し悔しい表情を浮かべながら笑った。8月2日のロッテ戦(ベルーナドーム)、一番・中堅でスタメン出場した西武の西川愛也は第1打席で右前打。ネビンの犠牲フライで先制のホームを踏むと、同点に追いつかれた直後の3回には勝ち越し弾を右翼ポール際へ運ぶ。5回は左翼線二塁打、7回は左前打、9回は二塁内野安打。怒涛の如く安打を重ねると10回には中前打を放つ。三塁打が飛び出ず、「めっちゃ狙っていた」というサイクル安打を達成できなかったが、1955年の仰木彬(当時西鉄)に並ぶ球団タイ記録の1試合6安打をマークした。

「状況に応じた打撃ができました。(ボールの)見え方も良かったです」。試合は延長12回5対5の同点に終わったが、鮮烈な輝きを放った。今季通算106安打とし、リーグ単独トップにも躍り出た。「タイトルを意識しないのは、やっぱり無理なので。日々の数字もしっかりチェックしています。意識した中で、タイトルを獲れたらすごく価値はあると思います。だから、逆に意識してやろうかなって。意識しないという選手も多いですけど、絶対無理ですよ(笑)」。8年目で初の栄冠のチャンスに燃えている。

 新世代の安打製造機へ――。しかし、過去に「H」ランプが灯らない苦しみを味わった。2020年8月から23年4月にかけてNPB野手ワーストの62打席連続無安打。不名誉な記録で球史に名を残した。レギュラー定着を果たした今でも無安打が続くと、その悪夢が頭に思い浮かぶという。

「ただ、そのときは『普段どおりやる』ことを意識しています。やるべきことをしっかりやって、試合に挑む。準備をより一層、大事にします。無安打が続いたときは何をやってもダメだったので。今日はここを、明日はあそこを変えてみようと、いろいろ試したけれど結果が出ませんでした。だから、変えないことが大事。今は打てない時期が続いても、取り組んでいることを一貫してやっていくことを考えています」

 8月4日現在、全試合出場。主に一番としてラインアップに名を連ね、積極的な打撃で出塁して打線に勢いをもたらしている。

「チームとして最初に打席に立つ打者なので。初球で思い切り詰まるなど、しょうもないアウトのなり方をすると、後ろの打者に『ピッチャーの球が結構来ているのかな』と思わせて、不安な気持ちが湧き上がるかもしれない。アウトになったとしてもいい内容だったらあとにつながるので、そういったことは意識していますね」

 盗塁もリーグ3位の20個をマーク。守備範囲が広く、球際に強い外野守備にも定評がある。

「盗塁で必要なのは勇気です。守備ではもっといいプレーができると思っています。1歩目を大事にして、打球を捕るまで油断しないようにしています」

 今年は監督選抜で初の球宴出場も果たした。攻守走でスピード感あふれるプレーが魅力の獅子の背番号51。クライマックスシリーズ出場を目指すチームを先頭に立ってけん引していく。

【文責:週刊ベースボール】