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【パCSファイナルS展望】リーグ3連覇のオリックス、勢いに乗るロッテは下克上狙う

 パ・リーグの「2023 パーソル クライマックスシリーズ パ」ファイナルステージは1位・オリックスがファーストステージを突破した2位・ロッテを京セラD大阪で迎え撃つ。

 オリックスは黄金時代の到来を予感させる。開幕以来、危なげない戦いぶりで7月上旬に首位争いから抜け出すと独走態勢に。貯金33で2位・ロッテに15.5ゲームの大差をつけ、リーグ3連覇を飾った。

 シーズンで5月に4連敗した以外は3連敗以下だった戦いが証明するように、先発陣が抜群の安定感だった。絶対的エースの山本由伸が16勝6敗、防御率1.21で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率と史上初の3年連続で「4冠」に。宮城大弥が3年連続2ケタ勝利、山﨑福也が自己最多の11勝を積み重ねた。若手の台頭も著しい。高卒3年目の山下舜平大が9勝、育成入団で昨年に支配下昇格した東晃平が無傷の6勝と頭角を現した。

 救援陣も盤石だ。平野佳寿、宇田川優希、山田修義は防御率1点台を記録。山﨑颯一郎、阿部翔太、小木田敦也、比嘉幹貴は防御率2点台とさまざまなタイプの投手が自分の持ち場できっちり結果を出した。先発からシーズン途中に配置転換された山岡泰輔は、救援での防御率1.91と首脳陣の期待に応えた。ロングリリーフが可能なため起用法の幅が広く心強い存在に。今季の逆転負け18度はリーグ最少。救援陣がいかに安定していたかを物語っている。

 打線では、頓宮裕真が覚醒。打率.307、16本塁打で自身初の首位打者に輝いた。FAで西武から昨オフに加入した森友哉は故障で2度戦線離脱したが、捕手とクリーンアップという攻守で重要な役割をまっとうし、打率.294、18本塁打をマーク。得点圏打率.363と勝負強さを発揮した。オリックスの強みは主力が欠けてもチーム力が落ちないことだ。森の離脱時は若月健矢が好リードで投手陣を牽引。茶野篤政、野口智哉、宜保翔ら若手も躍動した。すっかりおなじみとなった「日替わり打線」が機能しているのは、中嶋聡監督の手腕によるところが大きい。個々の選手の状態や相手チームとの相性を見極め、最善の策を講じる。ベンチワークが冴え渡り、競り合いに強い。1点差試合は28勝13敗と圧倒的な強さを発揮した。

 ファイナルステージは1勝のアドバンテージがあり、本拠地・京セラD大阪で戦える。絶対的有利な状況でも慢心はない。1戦目は山本、2戦目は宮城が先発予定。左右のエースできっちり白星を取れるかが日本シリーズ進出のポイントになる。

 一方のロッテは負けられない戦いで勝ち続け、勢いに乗っている。負ければBクラスが決まる10月10日のシーズン最終戦・楽天戦で5対0と完封勝利を飾り2位でCSファーストステージに進出すると、3位・ソフトバンクとの対戦で崖っぷちに追い詰められた状況から奇跡を起こした。1勝1敗で迎えた3戦目。0対0の手に汗握る投手戦で延長10回に澤村拓一、坂本光士郎が痛打を浴びて3点を失ったが、本拠地・ZOZOマリンで熱狂的な大声援を受けたナインの気持ちは切れていなかった。代打・角中勝也、荻野貴司が連打で無死一、二塁と好機を作り、藤岡裕大が右翼に同点3ラン。さらに二死一塁で安田尚憲が右中間に打球を放つと、一塁走者の岡大海が本塁生還の激走。CSの延長戦で3点差の逆転サヨナラは史上初の快挙だった。

 ファーストステージで救援陣をつぎ込み、佐々木朗希、西野勇士、小島和哉と先発3本柱も起用した。種市篤暉が右肘の炎症、カスティーヨも右前腕の張りで不在と投手陣の状況は厳しい。ただ、「幕張の奇跡」を起こしたチームは勢いに乗っている。ロッテは短期決戦に強い歴史がある。バレンタイン元監督が率いた2005年はシーズン2位からプレーオフを勝ち抜きリーグ覇者となり、日本シリーズでも阪神を4連勝と圧倒。31年ぶりの日本一に輝いている。10年もシーズン3位からCSを勝ち上がると、日本シリーズで中日を4勝2敗1分で下し、西村徳文元監督は就任1年目で日本一に。「プロ野球史上最大の下克上」と評された。

 今季のオリックスとの対戦成績は8勝15敗2分。京セラD大阪でも3勝9敗1分と大きく負け越している。苦戦が予想されるが、今年のシーズン前も下馬評が決して高いと言えない中で前年の5位から2位に躍進した。就任1年目の吉井理人監督は策を練っているだろう。「令和最大の下克上」を果たせるか。

【文責:週刊ベースボール】