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【2023セ・リーグ回顧】岡田彰布監督就任1年目の阪神が38年ぶりの日本一、広島が4年連続Bクラスから2位に躍進

 優勝した阪神は8月に18勝7敗と大きく勝ち越すと、9月以降も11連勝と圧倒的な強さを発揮。9月14日のリーグ優勝は球団史上最速だった。オリックスと対戦した日本シリーズも4勝3敗で制し、38年ぶりの日本一に。投手陣は村上頌樹、大竹耕太郎の働きが光った。村上は10勝6敗、防御率1.75で最優秀防御率、新人王、MVPを受賞。ソフトバンクから現役ドラフトで加入した大竹も12勝2敗、防御率2.26と期待以上の働きぶり。救援陣も強力で、岩崎優が35セーブで最多セーブに輝いた。打線は一、二番コンビの近本光司が盗塁王、中野拓夢が最多安打のタイトルを獲得。不動の四番・大山悠輔が最高出塁率(.403)に輝き、木浪聖也が「恐怖の八番」として稼働するなど切れ目のない打線で555得点はリーグトップだ。今年から就任した岡田彰布監督の用兵術も光り、黄金時代到来を予感させた。

 その阪神に食らいついたのが、2位の広島だった。2016~18年に球団史上初の3連覇を飾ったが、19年以降は4年連続Bクラスと低迷。新井貴浩新監督の下でチーム再建に乗り出した。開幕から守護神・栗林良吏の調子が上がらず、夏場以降は西川龍馬、菊池涼介、秋山翔吾、野間峻祥と主力選手たちが次々に戦線離脱したが、全員一丸の野球でチーム力が落ちない。7月下旬に4年ぶりの10連勝をマーク。阪神との最大9ゲーム差をひっくり返し、一時は首位に浮上するなどセ・リーグを盛り上げた。新守護神に抜擢された矢崎拓也が24セーブ、島内颯太郎が42ホールドポイントを挙げて初の最優秀中継ぎ投手を受賞するなど課題の救援陣が整備され、打線も末包昇大が自身最多の11本塁打をマーク。チーム力が上がり、大きな手応えをつかんだシーズンになった。

 3位のDeNAは3、4月に16勝7敗と最高のスタートを切ったが、その後は爆発力を欠き貯金を積み重ねられなかった。東克樹が16勝3敗、防御率1.98で最多勝、最高勝率(.842)のタイトルを受賞し、バウアーは5月から一軍昇格すると2ケタ勝利をマーク。今永昇太は自身初の最多奪三振(174)、打線では牧秀悟が打率.293、29本塁打、103打点で打点王と最多安打、宮﨑敏郎が首位打者と個々の活躍は目立ったが、接戦を落とす試合が目立ち、首位・阪神に12ゲームの大差をつけられた。大きな課題は救援陣だろう。長年守護神として稼働した山﨑康晃が不調でシーズン途中にセットアッパーに配置転換され、伊勢大夢も安定感を欠いた。選手の能力は高いだけに、チーム力にどう還元するか。

 2年連続Bクラスに終わった巨人は過渡期を迎えている。主将の岡本和真は打率.278、41本塁打、93打点で自身3度目の本塁打王に輝いたが、丸佳浩が打率.244、18本塁打、47打点と11年ぶりに規定打席に到達できず、絶対的エースだった菅野智之も右肘の張りで出遅れた影響で4勝止まり。阪神に6勝18敗1分、広島に8勝17敗と大きく負け越したことが響いた。明るい材料もある。ドラフト4位で入団した門脇誠がシーズン途中に遊撃のレギュラーに定着し、打率.263、3本塁打、21打点、11盗塁をマーク。高卒3年目の秋広優人も打率.273、10本塁打、41打点と頭角を現した。エースの戸郷翔征が12勝、山﨑伊織も自身初の2ケタ勝利と先発の柱に。来季は阿部慎之助新監督の下で常勝軍団の復活を目指す。

 21、22年とリーグ連覇を飾ったヤクルトは優勝候補と目されていたが、5位に低迷した。昨季日本選手記録の56本塁打を樹立し、三冠王を獲得した村上宗隆が春先から打撃不振から抜け出せず、リードオフマンの塩見泰隆も度重なる故障で51試合出場に終わったのが大きな誤算だった。投手陣は小川泰弘が3年ぶりの2ケタ勝利をマークしたが、サイスニードが7勝、高橋奎二、ドラフト1位右腕・吉村貢司郎が共に4勝と白星が伸びず。リーグ連覇した2年間は救援陣の活躍で補っていたが、抑えで33セーブと奮闘した田口麗斗につなぐセットアッパーが不安定だった。優勝経験が豊富な選手たちがそろっているだけに、投打で戦力を整えて覇権奪回を狙う。

 球団史上初の2年連続最下位に低迷した中日は、長年の課題である得点力不足が解消できなかった。今季の390得点はリーグワースト。5位の広島は493得点と100点以上の差をつけられた。岡林勇希、大島洋平がチャンスメークするが、ポイントゲッターが稼働せず。DeNAから現役ドラフトで移籍した細川成也は打率.253、24本塁打、78打点と自己最高の成績を残したが、クリーンアップをなかなか固定できなかった。石川昂弥は打率.242、13本塁打、45打点。得点圏打率.184と勝負強さに磨きをかけたい。二遊間のレギュラーも固まらず課題は多いが、若手にとってはチャンスと言える。立浪和義監督は来季が3年契約の最終年。セ・リーグの「台風の目」になれるか。

【文責:週刊ベースボール】