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【記録員コラム】「投げずに敬遠」

 球春到来。暦の春より先にやって来た野球の春に、心が躍ります。しばらく更新が滞っていた記録員コラムですが、今シーズンも続けますのでご愛読のほどよろしくお願い致します。

 マスメディアの報道等でご存知とは思いますが、今年度より故意四球の申告制が公認野球規則に記載されました。要約すると「守備側チームの監督が故意四球とする意思を球審に示した場合、投手は投球を行う必要がなくなり、打者にはボール4個を得た時と同じように一塁が与えられる」というルールで、米大リーグでは昨年から導入されています。

 ただし、故意四球を企てる場合必ずしも申告制が強制されるものではありません。従来通り4球を投げての敬遠も可能ですし、数球投げた後(例えば、打者のカウント2ボール0ストライクから)敬遠を申告しても受け入れられます。規則改正により、故意四球の方法が変更になったのではなく、守備側の選択肢が増えたのです。とは言え、故意四球の際に投球することは、暴投やボーク等で塁上の走者を進めるリスクを抱えるため、ほとんどが申告制を活用すると想定されます。ちなみに昨年、大リーグでは970の故意四球が記録されていますが、全て申告による故意四球でした。

 大リーグで故意四球の申告制ルールを導入した目的の1つは、試合時間の短縮と言われています。皮肉なことに、昨年の平均試合時間は前年より4分29秒延び、時間短縮にはつながりませんでしたが、故意四球の場面で試合時間が削られたことに間違いはないでしょう。昨年、セ・パ両リーグでの故意四球は858試合で90、平均すると9.5試合に1個でした。これには、捕手が立たないでアウトコースにウエストした場合などは含まれていません。今季はそれらが申告されることになれば故意四球とカウントされ、数字はかなり増えるはずです。仮に、昨年の大リーグの数値(2.5試合に1個)で試算すると、今季の故意四球は340前後に。故意四球1個につき1分が削れるとすれば、トータルで340分が短縮されます。年間の平均試合時間にすれば858分の340で、約0.4分(24秒)の短縮にしかならないので、厳しい意見も出そうですが、試合時間の短縮は秒単位の削り出しの積み重ねにあるとご理解いただければ幸いです。

 新たな記録が刻まれるかも知れません。リリーフ登板した投手が、最初の打者に1球も投げず申告の故意四球で出塁させ降板した場合、投球数は0で、その走者が決勝点になり敗れると敗戦投手になります。過去、プロ野球で1球敗戦投手は延べ27人いますが、投球数0の敗戦投手はいません。昨年まではルール上、1球も投げずに打者を出塁させることが不可能だったので、敗戦投手になることはあり得ませんでした。故意四球の申告制導入により「0球敗戦投手」出現の可能性ができたのです。

 今回の規則改正に賛否はあると思いますが、故意四球に続く真剣勝負の場面がなくなるわけではありません。今シーズンもプロ野球に温かいご声援をお願い致します。

【NPB公式記録員 山本 勉】