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【セCSファイナルS回顧】最終戦までもつれ込む激闘を制したDeNA、3位からの下克上で7年ぶりの日本シリーズ進出

「2024 JERA クライマックスシリーズ セ」ファーストステージで2位・阪神を2勝0敗で下した3位・DeNAと1位・巨人の対決となった東京ドームでのファイナルステージ。最終戦までもつれ込む激闘を制したDeNAが2017年以来、7年ぶりにの頂上決戦に臨むことになった。

 初戦、DeNAに勢いを与えたのは主軸の一発だった。0対0で迎えた4回。先頭で打席に入った三番・佐野恵太は2ストライクからの3球目、高めに浮いたフォークを見逃さなかった。「手応えは十分でした」という一撃は右翼席に飛び込む先制弾。マウンドの戸郷翔征は「悔いの残る1球」とガックリ肩を落とした。DeNA先発のケイは粘りの投球を見せた。初回は2四球を与えたがゼロで切り抜けると、6回1安打無失点の好投。7回一死一、三塁では代打・筒香嘉智が左前適時打で貴重な追加点を挙げる。7回からは執念の継投。守護神・森原康平が右肩のコンディション不良でベンチメンバーから外れるピンチだったが、7回二死一、二塁では山﨑康晃から坂本裕哉にスイッチ。8回はシーズンでは6試合登板のみの堀岡隼人に託した。最終回は伊勢大夢が3者凡退で締め、無失点リレーを完成。投打にかみ合った戦いでDeNAが2対0で初戦をものにした。

 第2戦もDeNAが巨人に立ち向かう。先発の大貫晋一は初回、3者連続三振と抜群の立ち上がり。カットボール、ツーシーム、スプリットを駆使して巨人打線の狙いを外す絶妙なピッチング。6回2/3を5安打1失点としっかり試合をつくった。打線は今季15勝を挙げて最多勝に輝いた菅野智之の前に4回まで1安打に抑えられていたが、5回一死三塁から森敬斗の中前適時打で1点を先制。同点に追いつかれた直後の7回には先頭のオースティンが外角高めのツーシームをフルスイング。打球は右中間席へ飛び込む決勝ソロ弾となった。「本当にいい気分です」とオースティンは満面の笑みを浮かべた。2対1で迎えた9回には復帰した森原がマウンドへ。先頭の岡本和真から空振り三振を奪うなど、巨人打線を2奪三振の三者凡退に封じて勝利を呼び込んだ。DeNAはファーストステージから4連勝となった。

 DeNAの勢いは止まらない。第3戦は2回、巨人に1点を先制され、さらに3回も一死二、三塁のピンチを招く。DeNAバッテリーは四番・岡本和は申告敬遠で歩かせ、大城卓三との勝負を選択した。この重要局面で大城が放った中前へ抜けそうな痛烈な打球を二塁・牧秀悟が横っ飛びで好捕。すかさず遊撃・森敬へトスすると「6-4-3」の併殺を完成させ、ピンチを切り抜けた。「スーパープレー。チームが盛り上がった」と三浦大輔監督が大絶賛するプレーがチームに勇気を与え、直後の4回にオースティンが同点ソロ弾。5回には赤星優志の暴投で勝ち越しに成功した。三浦監督は4回から継投策へ。中川颯は5、6回、山﨑は7、8回の2イニングをゼロで抑え、9回は森原。守護神がマウンドで仁王立ちし、1点リードを守り切ってDeNAが3連勝。日本シリーズ進出へ王手をかけた。

 崖っぷちに立たされた巨人だが第4戦で先発・井上温大が好投する。140キロ台後半の直球とキレ味鋭いスライダーが威力を発揮し、6回一死まで一人の走者も許さない完全投球。「1球1球集中して、何とか後ろのピッチャーにつなごうと思って投げました」。6回一死から戸柱恭孝に同点ソロ弾を浴びたが、見事な投球だった。7回には打線が奮起。一死から坂本勇人が左前打で出塁すると、中山礼都の右前打で一塁から激走を見せて三塁にヘッドスライディング。続く岸田行倫が初球にセーフティースクイズを仕掛けると、坂本は再び激走して本塁にヘッドスライディングで勝ち越しホームイン。35歳のベテランは何度も手でグラウンドをたたき感情を爆発させた。この回は重盗や相手エラーがからみ、さらに2点を追加。4対1とすると8回はバルドナード、9回は大勢がDeNA打線の前に立ちはだかり、巨人が1勝のアドバンテージを含めて2勝3敗に。「必死さが伝わってくる」と阿部慎之助監督も目を細めた坂本の気迫全開の走塁が巨人ナインの心に火を付けた。

 土俵際で踏ん張った巨人。第5戦も緊張感ある戦いで底力を見せた。DeNA先発の濵口遥大の前に打線は4回まで1安打無失点に封じられていたが、山﨑にスイッチした5回に伏兵の一発が飛び出した。先頭の中山が1ボールからの147キロ内角直球を鋭くたたくと打球は一直線に右翼席へ飛び込んだ。「1年目から見ているけど、あんな打球は初めて」と阿部監督も目を丸くする一撃はレギュラーシーズンを含め、プロ初となる本塁打。0対0の均衡を破る貴重なソロ弾となった。7回一死三塁のピンチでは強烈な遊ゴロを門脇誠がスライディングしながら好捕し、素早くバックホームして三走・桑原将志の本塁生還を許さず。9回は大勢が走者を出しながらゼロで締め、巨人が1対0で勝利。3勝3敗として逆王手をかけた。

 雌雄を決する第6戦、息詰まる熱戦が展開された。初回、巨人がDeNA遊撃手・森敬の悪送球により1点を先制し、4回には一死一、三塁で戸郷がセーフティースクイズ。2対0とリードを広げたが、DeNAは5回に森敬の適時三塁打、代打・フォードの適時打で同点に追いつく。以降は両軍リリーフ陣が走者を背負いながら力投を続け、得点を許さない。8回からは巨人ベンチは菅野を投入、捕手も小林誠司に代えた。「スガコバコンビ」をつぎ込む必死の継投で勝利をつかみにいく。しかし、9回、だ。二死三塁のピンチで牧にカットボールを左前に運ばれる。「気持ちで打つことができたかなと思います」という牧の執念の一打でDeNAが勝ち越し。その裏は森原が3人で締め、DeNAが3位からの下克上を決めた。MVPは打率.346、1本塁打、6打点をマークした戸柱。マスクをかぶっても巧みなリードで巨人打線を抑え込んだ。指揮官としては自身初の日本シリーズに挑む三浦監督は「もう一度、横浜スタジアムで試合ができますので、熱いご声援よろしくお願いします」とファンに呼び掛けた。

【文責:週刊ベースボール】