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【記録員コラム】LINEのお話(後編)

 LINEのお話の後編です。(前編はこちら)

 グラウンド整備が終わり各所の白線も綺麗に描かれ、いよいよ試合開始です。

 写真①はスリーフットラインですが、野球規則とは若干異なっていることに気付きますか。規則書では本塁から一塁にかけて、ファウルラインの右側にカタカナの「コ」の字のような形でラインが描かれていますが(写真②)、昨今のプロ野球では写真①のようにファウルライン右側に1本の平行な線を引いただけの球場が増えて来ました。

 スリーフットレーンは「一塁に対する守備が行われているとき、本塁一塁間の後半を走る打者が走らなければならない場所」です。レーンの外を走っていて、一塁への送球を捕えようとする野手の動作を妨げるとアウトが宣告される重要なラインです。しかし、規則通りにファウルラインとスリーフットラインの横の線(カタカナの「コ」の両先端部分)が接していると、審判員はその接点に打球が落ちた際にフェア、ファウルの判定が難しくなります。そこで審判員が判定し易いように、少し間を開けるようになったのです(写真③)。

 今は中堅となったある審判員が入局した20年ほど前は、規則書通りにスリーフットラインが描かれていた球場もあったようです。「一塁塁審を担当する時は、ファウルラインに接しているスリーフットラインを足で消すことが最初の仕事でした」。その光景を見ていた球場のグラウンド整備の人が、気遣いを見せラインの接点をなくしてくれました。そして今では横の線を全く描かず、ファウルラインと平行な1本の線だけの球場も多くなったのです。

 写真④はキャッチャースボックスですが、ここもアレンジされています。規則書には写真⑤のように後縁の横のライン(109.2センチ)もありますが、プロ野球の球場ではまず引かれていません。キャッチャースボックスは、文字通り「投手が投球するまで、捕手が位置すべき場所」ですが、通常捕手はホームベース寄りに構えるので後ろのラインが重要視されることはありません。ラインの位置は、ちょうど球審が足を置く場所と重なるようで、審判員からの要望もあり次第に描かれなくなったようです。

 これから先、変化するラインはあるのでしょうか。私はコーチスボックスに注目しています。一塁と三塁のファウルグラウンドにあるコーチスボックスは、攻撃側の走塁コーチが位置する場所で、大きさは「20フィート×1~10フィート」と規定されています。ファウルラインと平行に引く横の長さは20フィートと決められていますが、その両サイドから直角に引く縦のラインは「1~10フィート」と幅が持たせてあります。現在、日本の一軍本拠地球場はすべて規定いっぱいの10フィートで描かれていますが(写真⑥)、大リーグの多くの球場は2~3フィートしか描かれていません。

 そこに目を付けた球場があります。ロッテの二軍本拠地・ロッテ浦和球場です。写真⑦のように縦のラインを3フィートほどしか引いていないのです。「上司と大リーグ中継を見ていたのがきっかけです。格好がいいし、(ラインを短くすると)石灰の消費量も少なくなり経費削減にもなりますから」と、球場のグラウンド整備を担当する坂本一人さんが経緯を説明してくださいました。NPBの了解を得たうえで、昨年夏ごろから実施。「今年は一軍の石垣島キャンプでもやる予定ですし、イースタンの公式戦でも続けます」と、メジャー流のコーチスボックスの継続に意欲満々です。果たして、ファーム球場から投じられた一石に呼応する一軍本拠地球場はあるのでしょうか。

 野球が規則に基づき行われることは不変ですが、その舞台はグラウンドに立つ審判員やグラウンド整備の方々の意向にも沿って、スマートに「進化」していることをご理解いただければ幸いです。たかがライン、されどライン―。今シーズン、球場へ足を運ばれた際には、描かれているラインにも注目してみてください。

【NPB公式記録員 山本勉】