1921、22年と夏の全国高校野球選手権(当時は全国中等学校優勝野球大会)史上初の連覇を果たした古豪・旧制の和歌山中(現桐蔭高)の校地東半を占める運動場に1922年に造られた北辺から東辺に設けた観覧席。敷地東の丘陵斜面を利用したコンクリート製の客席は北面では中央階段の西が11段、東が10段、東面は12段で中間に2箇所の階段を設ける。1922年12月2日、この野球場で、後の昭和天皇(当時は皇太子)が同校の現役とOBによる紅白戦を観戦した(初の野球観戦)。四国で陸軍演習を視察されたあとの和歌山入りで学校側はスタンドなどを突貫工事で完成させ、出迎えたという。5000人ほどが詰めかけ、試合は3-1でOBが勝利した。「吹上球場」と呼ばれ、戦後、県営球場ができるまでは和歌山大会を開催していた。2021年2月、文化庁の登録有形文化財(建造物)となっている。