【コラム】チーム今季初勝利を呼ぶ人生初のサヨナラ本塁打、新背番号『55』で価値ある一打を生む中日・細川成也
自分が決めてやる――。
強い覚悟を秘めてバットを握った。4月2日の巨人戦(バンテリンドーム)。3対3の同点で迎えた延長11回、打席に入った中日・細川成也はカウント1-0から中川皓太が投じた外角低めのスライダーをジャストミート。グングン伸びた打球は左中間席に飛び込むサヨナラ本塁打となった。野球人生で初めてという劇弾が、チームを4試合目で今季初勝利に導いた。開幕から18打席無安打。「ずっとヒットが出ず、苦しかった」と胸の内を明かした細川は「最高でした。明日からも打ちまくれるように頑張ります」と笑顔を浮かべた。
この一撃が呼び水になった。翌日の同カードでは8回にケラーの154キロ直球をセンターバックスクリーン左に運ぶ2試合連続本塁打で勝利に貢献。6日の広島戦(マツダスタジアム)では1対0の5回二死一塁でハッチのツーシームをセンターバックスクリーンへたたき込んだ。「チームが勝ったことが一番。涌井さんに勝ちをつけることができてよかった」と涌井秀章の1年目からの20年連続勝利をアシストできたことを喜んだ。
昨年、現役ドラフトでDeNAから中日へ移籍。DeNAでの6年間では通算6本塁打に終わったが、新天地で24本塁打をマークした。「立浪(和義)監督や和田(一浩)打撃コーチにキャンプのときから熱心に指導していただいたおかげです。タイミングに関して試行錯誤しながら、ずっと練習していました。まだ、つかんではいませんが、それがベイスターズにいたときよりは良くなっているのかなという感じです」と本人は覚醒の理由を語る。
球界を代表する大砲へ――。周囲の期待は大きい。その表れが背番号変更だ。昨年の『0』から今年は『55』を背負う。
「背番号を変えようという話はいただいていて、いくつか候補はあったと思うんですけど、自分ではなかなか決められないというか……。監督や代表など球団の方に決めてもらったほうがうれしいですと、そこは自分のほうからお願いしました。自分で決めるのではなく、与えてもらった背番号で頑張りたい、頑張ろうという気持ちが強かったですね」
中日ではかつて通算277本塁打の大豊泰昭が『55』を着けていた。
「やっぱり長距離砲、大砲が着ける背番号ですよね。松井さん(秀喜、巨人ほか)など、すごい打者が着けていたという記憶があります。もちろん大豊さんの名前は知っていますけど、実際にプレーを見たことはなかったですから、詳しくは分からないです。ただ、本当に『55』のイメージに恥じないような活躍をしたい、それが一番です。(本塁打数に関して)具体的な数字を言うのは、あまり好きじゃないので、そこは自分の中でとどめておきます。ただ、昨年の数字は最低条件ぐらいの気持ちでいます」
開幕から主にクリーンアップに座る細川の存在は2年連続最下位からの脱出に欠かせない。力強いスイングから生まれる勝利を呼ぶ一撃。竜の背番号『55』が価値ある一打を放ち続ける。
【文責:週刊ベースボール】