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【コラム】デビューから22試合連続無失点ピッチング、“絶叫投球”が光るオリックス新人・古田島成龍

 いつもどおり、大きくほえた。6月23日の西武戦(京セラD大阪)、3点リードの8回二死でマウンドに上がったオリックス・古田島成龍は代打・山野辺翔を投ゴロに打ち取りゼロで役目を終えた。この瞬間、プロ初登板から22試合連続無失点を達成。2021年広島・栗林良吏、2022年楽天・宮森智志の持つプロ野球記録に並んだ。「ソワソワしていましたが、めちゃくちゃうれしいです。準備してマウンドに登ることができました」。試合後のヒーローインタビューで背番号97は喜びを爆発させた。

 社会人・日本通運時代から“絶叫投球”が注目されていたが、プロでも“持ち味”を存分に発揮している。4月20日のソフトバンク戦(PayPayドーム)では、3対3と同点の11回に七番手で登板。二死満塁とサヨナラのピンチを迎えたが、最後の打者を二飛に仕留めると、まるで優勝したかのように絶叫した。気迫を前面に押し出した姿にチームメートから「いじられますね(笑)」とはにかむが、それが古田島のすべてだと言っても過言ではない。

「気持ちの強さが、自分の投球スタイルの中でも売りだと思っています。正直に言いますけど、ほかの投手たちと比べると、そこまでのボールは持っていないので。どんどん攻めて、気迫でバッターを圧倒したいという気持ちが強いです」

 決してエリート街道を歩んできたわけではない。河内中では部員10人。背番号1を着けながら、古田島のボールを受けられる捕手がいないため自らマスクをかぶった。高校は地元・茨城の県立校・取手松陽高に進学。最速146キロで注目されたが高校2年3月に大ケガを負う。ティー打撃中のバットが右こめかみに直撃し、陥没骨折。1カ月後に復帰したが首に違和感が出て、右肩まで痛みが派生した。3年夏の茨城大会は座薬を入れ一塁手として出場し、マウンドには立てなかった。3年冬には右肩と胸郭出口症候群(血行障害)の手術を受けた。

 中央学院大では1年のリハビリを経て、2年春から登板。最速151キロをマークするまでに成長し、4年時にプロ志望届を提出も名前は呼ばれなかった。座右の銘は「逆境こそ覚醒のとき」。闘志を燃やし、ドラフト後の明治神宮大会でチームを初優勝に導く。卒業後は日本通運で腕を磨き、2023年秋のドラフトでオリックスから6位指名を受けた。

 力強い直球にチェンジアップ、カットボールはキレが十分。開幕一軍をつかむと、ここまで相手に得点を許さない見事なリリーフ登板を重ねている。

「結局はチームを勝たせることが一番なので。負けている場面でも、勝っている場面でも、気持ちの強い投球を見せていけたらなと思います。自分は、田舎っぺ(苦笑)。身長も低い(175センチ)。それでも活躍できるということを証明して、子どもたちに夢を与えたいです」

 ガッツあふれるピッチングでチームに、ファンに元気を与えていく。

【文責:週刊ベースボール】