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【コラム】祖父は高校野球界の名将 脅威の得点圏打率を誇る楽天新人の渡邊佳明

 「チャンスは燃えるというか、スイッチが入ります」

 頼もしい言葉を口にするのが楽天のドラフト6位ルーキー・渡邊佳明だ。8月11日現在、得点圏では29打数16安打、打率.552をマーク。得点圏以外では88打数13安打、打率.148。打数に大きな差はあるが打率は両極端な数字を示している。

 「七番・三塁」でスタメン出場した8月11日のオリックス戦(楽天生命パーク)でも勝負強さを見せつけた。同点に追い付かれた直後の6回だ。一死二塁で和田恋が左翼へヒットを放つも二走のウィーラーが本塁で憤死。勝ち越しを逸した嫌な雰囲気の中、二死二塁で打席に入ったのが渡邊佳だった。左腕の山田修義が3球続けて投じたスライダーをとらえ切れず、あっという間に1ボール2ストライク。ここで再びタイミングが合っていないスライダーに狙いを定めた。

 「ストレートだったら仕方ない」

 4球目。読みどおりスライダーが来た。渡邊佳は外角へ逃げていくボールを巧みにコンタクト。打球はセンター前へ飛ぶ勝ち越し適時打に。新人の一撃で楽天打線は勢いづき、二死満塁から茂木栄五郎のグランドスラム弾も飛び出した。この回、5点を挙げ、7対2とした楽天はそのまま快勝し、日本ハムと並んで3位タイに浮上した。

 灼熱の8月、グラウンドでひときわ生き生きと見えるのは、その血筋が理由か。渡邊佳の祖父は横浜高を率いて春夏甲子園に計27回出場し、史上4位タイの通算51勝を挙げた渡辺元智だ。名将の孫として生まれた渡邊佳は幼いころから多くの時間を横浜高野球部の合宿所で過ごした。「家にいるよりも、寮のほうが幼少の記憶としてははるかに大きい。いつも、誰かの部屋で遊んでいた気がします」と懐かしむ。

 自然に横浜高にあこがれを抱くようになり、「おまえの実力ではユニフォームを着られない」と反対する祖父を押し切り、一般入試で進学すると、1年秋から一塁手のレギュラーをつかみ、2度の甲子園出場を果たした。

 「野球推薦でも『ダメだ!!無理だ!!』と言いましたが、一般入試を突破してきたら、止めることはできない。自分の力でクリアし、前を向いて信念を貫いてきた。高校に入るまではある程度、野球に囲まれた環境の中に入れて育ってきましたが、高校ではすべて自分の力で這い上がってきた。入学当初は批判的な声も耳に入ったかもしれないが、最後の夏はスタンドからは『渡辺コール』でなく『佳明コール』であったから。結果を出した、努力の賜物でした」と祖父も孫の頑張りを素直に称える。

 明大でも4年間の通算打率は.314。規定打席に到達した6シーズン中、4シーズンで打率3割突破するヒットメーカーぶりを発揮して、プロへの道をつかみ取った。バットを寝かせてみたり、立ててみたりと打席によって、または1球1球、構えを変えることもあるという。そういった創意工夫が勝負強さの源になっている。

 平石洋介監督も「内野もいろんなポジションを守れて、外野も守れる。打撃も粘り強い。そういう選手がいてくれたら助かる」と渡邊佳を評価。残り試合も40試合を切り、優勝争い、クライマックスシリーズ進出争いも佳境に入る。プレッシャーのかかる試合も増えるが、そんなときこそ渡邊佳は真価を発揮するに違いない。

【文責:週刊ベースボール】