【コラム】エースのピッチングを見せ交流戦開幕戦で勝利、「1球でも多く」投げることを誓う広島・森下暢仁
「もちろん優勝したいと思いますし、1球でも多く、1イニングでも長く試合で投げたいので、そういう気持ちを持って、シーズンを終われたらと思っています。そのためにもケガなくちゃんと自分のいい準備をして、取り組んでいくしかないですね」
秘めたる決意を持つ、広島のエース・森下暢仁が交流戦開幕の西武戦で有言実行のピッチングを見せた。
6月6日、マツダスタジアム。先発マウンドに立った背番号18だが2回に味方のエラー、4回に滝澤夏央に中前適時打を浴び、2点を失う。しかし、4回裏に末包昇大の中前適時打、坂倉将吾の中犠飛で同点に追いつくとギアを上げる。5回から7回まで西武打線を三者凡退。7回を終えた時点で105球を投じていたが、ベンチは森下に絶大な信頼感を置いていた。7回裏の打席に立ち、8回のマウンドへ。二死一、二塁と走者を背負うも、最後は平沼翔太を外角高めのカットボールで空振り三振。一打勝ち越しのピンチを切り抜けると、その裏、味方打線が1点を勝ち越し。9回はハーンが三者三振に仕留め、森下は4月18日以来の4勝目をマークした。
今季自己最多の125球で8回7安打2失点の熱投だったが、「4回くらいまでずっとしんどい場面をつくって、リズムをつくれなかったので、野手のみなさんに本当に申し訳なかった。同点に追いついてくれて、うれしかったし、気持ちが楽になった。本当に勝ちがついて良かったなと思います」と味方に感謝した。
6年目を迎えた今季、満を持して初めて託されたのが開幕投手だ。新井貴浩監督は「引っ張ってみろ、やってみろよ、という気持ち。『今年は見せてくれ』と期待を込めた」とエースとして、さらに飛躍する期待を込めた。その阪神戦は7回4安打2失点ながら勝利を飾れなかったが、開幕以来、金曜日が「森下の日」に。登板のたびにエース級とマッチアップする「表ローテの頭」の立場で腕を振っている。
「毎試合、勝ちたいと思って投げている中で、うまくいったり、いかなかったりという試合があります。その中で、何とか自分の中では貯金を作れるような試合がしたい、そういう試合を作っていきたいという気持ちは強いですね」
入団以来、エースナンバーの『18』を背負ってきた。過去5年で2ケタ勝利は3回達成し、いずれも10勝。4月18日の阪神戦(甲子園)では通算50勝を達成したが、さらなる高みへ、理想とする姿を追求していくことが“11勝の壁”の突破にもつながっていく。
「18番を背負って、マエケンさん(前田健太、現カブス3A、2008~15年に広島の背番号18)との自主トレもさせてもらいましたし、入団のときの監督が佐々岡さん(佐々岡真司、1990~2007年に広島の背番号18)だったこともあって。まだまだ、勝ち数といったところで、お二方には全然及ばないと思いますし、自分がもっと頑張って、『18番を着けて良かったな』と思えるようなことができたらなと思っています」
エースとして意識していることもある。
「ずっとローテーションを守って投げて、勝つということ。そういう強い姿を見せ続けることだと思います。いい投球をして、次のピッチャーにつなげる気持ちでやっています」
広島が7年ぶりにセ・リーグの頂点に立つために、森下の存在は欠かせない。
【文責:週刊ベースボール】