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【コラム】球団の高卒新人最多本塁打をマーク!「日本一のショート」を目指す広島・小園海斗

 中日・梅津晃大とのルーキー対決の3打席目に集中力を研ぎ澄ませた。9月10日、マツダスタジアム。1対0の7回裏、一死二塁。広島・小園海斗はカウント1ボール1ストライクからの浮いたフォークを、右翼スタンドにたたき込んだ。それまでの2打席で、打ち取られた球種。4号2ランを「何とか、絶対打ってやろうと思っていた」と振り返った。

 広島の高卒新人の4本塁打は、1950年の紺田周三の記録を69年ぶりに塗り替える、球団の単独最多記録となった。7日の阪神戦で西勇輝からマツダスタジアムでの初アーチとなる3号ソロを放ったばかりで、並んですぐに抜き去った。2位・DeNAにゲーム差なしに迫る快勝となり、緒方孝市監督も「たまにああやってびっくりさせてくれる。どんどんびっくりさせてほしい」と驚きを隠さなかった。

 今季は周囲をびっくりさせ通しだった。一軍スタートとなった春季キャンプでは当初、宮崎・日南の1次キャンプ途中で二軍に送られる予定だった。それが攻守でアピールを続け、日南を完走。沖縄での2次キャンプも最後まで残った。オープン戦でも2本のホームランを放ち、東出輝裕打撃コーチをして「落とす理由がない」と言わしめた。開幕一軍入りし、開幕戦をベンチで観戦した。このときは、戦力として計算されていたというより、将来のレギュラー候補として公式戦の雰囲気を体験する意味合いがあった。

 二軍でじっくり経験を積む当初の育成プランに戻ったが、正遊撃手・田中広輔の不調もあり、6月20日に再昇格した。同日のロッテ戦(マツダスタジアム)に「一番・遊撃」で先発し、プロ初打席で種市篤暉から左前打を放った。一方で、遊撃守備では先発した3試合で計4失策を記録。達成感と屈辱を同時に味わい、7月1日に再び二軍降格となった。それでも、小園の成長には先があった。

 後半戦がスタートした7月15日、一軍に呼び戻された。今度は4位に低迷するチームの起爆剤として期待された。復帰後初先発となった7月16日のDeNA戦(横浜)で上茶谷大河から2安打して評価を上げ、下位の打順で先発するようになった。7月26日のヤクルト戦(神宮)ではプロ初本塁打を含む4安打をマーク。あと三塁打が出ればサイクル安打という打ちっぷりで、勝負強さを見せつけた。以来、しっかりと攻撃の駒の一つとして使われるようになった。

 小園の最大の魅力は思い切りの良さだ。ファーストストライクから迷わずフルスイングする。それが空振りやファウルになっても、積極的に振っていくことによってスイングを修正するスタイル。「それが、自分の持ち味だと思っているんで」。ボール球を振るリスクはあるが、それよりも攻撃的な姿勢を持ち続けるほうが、相手も嫌がる。守備でも失策を恐れず、迷ったら前に出る。失敗する怖さを振り払ってグラウンドに立ち続けている。

 「日本一のショートになりたい」

 そう言って小園は、プロ生活をスタートさせた。これからも自らが定めた道を、一歩一歩進んでいく。

【文責:週刊ベースボール】